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メチルイソチアゾリノンメチル、クロロメチルイソチアゾリノンによるアレルギー性皮膚炎

2015.08.24

投稿者
クミタス

防腐剤として使用されてきたパラベンの代わりに、化粧品、ボディシャンプー、ヘアケア製品、日焼け止め、洗濯製品および洗浄剤、ウェットティッシュにメチルイソチアゾリノンメチル(MI)、メチルクロロメチルイソチアゾリノン(MCI。クロロメチルイソチアゾリノン)が含まれていることがあります。

メチルイソチアゾリノンメチル、メチルクロロメチルイソチアゾリノンは殺菌効果が高く、刺激性が高いことで、アレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性があることは、以前から示唆されています。

症状と頻度について


起こり得る症状としては、以下報告があります。
・発赤、腫れ
・焼いたり、刺すような感覚
・水疱形成、皮がめくれる

メチルイソチアゾリノンメチルを含む製品を使用して数日、数ヶ月、数年を経て発生する可能性があります。

EU圏では幾つか調査がおこなわれており、

・2010~12年にベルギーのBelgian Contact and Environmental Dermatitis Groupを訪れた患者6,599人のカルテなどを対象にした調査では、メチルイソチアゾリノン(MI)とメチルクロロイソチアゾリノン(MCI)を合わせた感作頻度は、2012年には4.5%、MI単独では6.0%だったが、2013年には7.2%へと増加

・ドイツ・エアランゲン・ニュルンベルク大学の調査では、1998~2009年間のMI/MCIの感作頻度は約2.1%だが、2011年には3.9%に増大

・ 2006年3月~2009年10月に接触性皮膚炎のある447人と2009年11月~2012年10月までに接触性皮膚炎のある359人の患者さんとを比較したところ、2006年3月~2009年10月でMI/MCIに感作している人は3.35%であるのに対し、2009年~2012年では11.14%に増大

参考:Increasing trend of sensitization to Methylchloroisothiazolinone/methylisothiazolinone (MCI/MI)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4056723/

と、患者さんの顕在化あるいは増加が伺える報告が挙がっております。また患者さんは、主に女性で平均年齢は49歳、化粧品の使用による手または顔面の皮膚炎が中心となっています。

MIはパラベンに代替するものとして、MCIよりも刺激性が低いと考えられていたことがあり、MIの利用量が増えていったことも感作する方の増加につながったことの示唆もあります。

使用状況


メチルイソチアゾリノンは、日本では、ポジティブリストとして、「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものおよび粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものにおいて100g中の最大配合量として0.01gまで配合できる」(厚生労働省告示第393号)と、条件が付きますが、洗い流さなくても良い化粧品やウェットティッシュなどにも使用してよいことになっています。

EU圏においては、近年、使用縮小に向かっており、洗い流さないタイプの製品への使用は控え、洗い流すタイプの製品への使用量は抑える方向になっております。
・Cosmetics Europe(ヨーロッパ化粧品工業会)にて、メチルイソチアゾリノンを洗い流さない化粧品(ウェットティッシュを含む)への使用を中止する勧告を発表(2013.12.13)
・欧州委員会では2016年7月15日から、メチルイソチアゾリノン/メチルクロロイソチアゾリノン混合物を、洗い流さない製品には使用禁止、洗い流す製品中では15ppm以下に変更へ(2014.9)

外資系企業製品の中には、メチルイソチアゾリノン/メチルクロロイソチアゾリノンを使用していた製品の販売を終了しているものもありますが、外資系企業製品のみならず、国内製造の洗い流さなくてよい化粧水、美容液、乳液、フェイスクリーム、スキンケア製品、化粧下地、リキッドファンデーション、ヘアトリートメント、ウェットティッシュにも広く使用されています。
ベビー用のボディシャンプーやウェットティッシュにも含まれていますので、同じ製品を使用している方で、手荒れや皮膚症状がある方は、意識しておくのが良いかもしれません。

高濃度に使用されていたとされる商品名も
中国:シャンプー2製品に高濃度の防腐剤、アレルギーの危険も
 

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