油脂の加熱による変化
空気に曝されることでも酸化しますが、食用油脂を繰り返し加熱すると、脂肪酸に酸素が結合し、トリアシルグリセロールが分解し、重合していくといった酸化が進み、カルボン酸の生成、加水分解により遊離脂肪酸が増えたり、過酸化物の分解生成物であるアルデヒドやケトンなどが生成されます。
加熱により油脂内の脂肪酸組成が変わることがあり、180℃以上での加熱時間が長くなるにつれ、トランス型不飽和脂肪酸が微量に生成されるとの報告もあります(生成されないとの報告もありますが、生成される場合でも水素添加でできるトランス型不飽和脂肪酸の方がはるかに多い量との意見があります)。
オイルを高温で加熱し続けると煙が出ることがあります。そのまま油温度が上昇すると発火につながり、その煙には、油の脂質が燃焼することで発生する多環芳香族炭化水素がより含まれるようになります。
各油脂の発煙点
各油脂においては加熱していくと、発煙を始める温度、発煙点があります。
無精製の菜種油 107℃
無精製のアマニ油 107℃
無精製のサフラワー油(紅花油) 107℃
無精製のひまわり油 107℃
無精製のコーン油 160℃
無精製の高オレイン酸ひまわり油 160℃
エクストラバージンオリーブオイル 160℃
無精製のピーナッツオイル 160℃
無精製の大豆油 160℃
無精製のくるみオイル 160℃
ヘンプシードオイル 165℃
バター 177℃
ココナッツオイル 177℃
無精製のごま油 177℃
ラード 182℃
マカダミアナッツオイル 199℃
精製された菜種油 204℃
ごま油 210℃
綿実油 216℃
グレープシードオイル 216℃
バージンオリーブオイル 216℃
アルガンオイル 220℃
アーモンドオイル 216~250℃
ヘーゼルナッツオイル 221℃
精製されたピーナッツオイル 227℃~232℃
精製されたコーン油 232℃
パーム油 232℃
パーム核油 232℃
精製されたひまわり油 232℃
精製された紅花油 232℃~266℃
精製された大豆油 232℃~257℃
オリーブポマースオイル(精製されたオリーブポマースオイルとバージンオリーブオイルのブレンド) 238℃
エキストラライトオリーブオイル(ほとんどが精製された油) 242℃
アボカドオイル 271℃
文献により差はあり、上記はあくまで参考値例になりますが、油の種類、精製度合により発煙点は異なり、精製されていない油の方が発煙温度が低く、油の酸化が進むと発煙温度が低くなる傾向にあります。
大豆油、菜種油、椰子油で原油と精製油で比較した際、発煙点が精製油の方が約40℃高く、同じ油での揚げ回数と発煙点の違いを調査した結果では、大豆油で1日1回10日間、170℃の油温で小麦粉を練ったものを揚げた結果、揚げ回数が1回増えるごとに過酸化物価は上昇し、発煙点は平均で1回ごとに7℃下がった調査結果もあります。
「弁当及びそうざいの衛生規範」では、揚げ処理中の油脂が、発煙、いわゆるカニ泡、粘性等の状態から判断して、以下に該当するにいたり、明らかに劣化が認められる場合には、その全てを新しい油脂と交換すること、としています。
・発煙点が170度未満となったもの
・酸価が2.5を超えたもの
・カルボニル価が50を超えたもの
油脂の発煙点を超えると、発火リスクも高くなりますが、油の風味にも影響します。調理ごとに発煙点を超えない油の選択ができるのも良いかと思います。
また、油脂を繰り返し使用していくなかで、使用できていた温度でも煙が出るようになったり、必要な調理温度に満たない温度でも煙が出る場合は、油脂を替えるのも望ましいでしょう。
参考:
Fats and Oils, Udo Erasmus. 1986.
The Culinary Institute of America (1996). The New Professional Chef (6th edition ed.). John Wiley &
Sons.
Healthiest Cooking Oil Chart with Smoke Points
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