Author クミタスさん
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2016.01.29
できることならアレルギーへの潜在的な反応を含め、IgE抗体陽性反応、アレルギー発症を予防したいと考える方は少なくないかと思います。
潜在的なアレルギー反応はいつから始まっているのでしょうか?
オーストラリアの研究チームにて1,000人以上の新生児の臍帯血内の免疫細胞を分析し、1歳時点で卵、乳、小麦、ピーナッツにアレルギー反応があるかを調べたところ、食物アレルギーのある子供は出生まもなく単球と呼ばれる一種の白血球にてより高い数値を示し、炎症と免疫反応を和らげる制御性T細胞が低い反応を示し、免疫システムが活発に働く状態にあった、とする報告がなされています。
ただし、免疫システムが活発な状態である赤ちゃんのすべてに食物アレルギーの症状があったわけではなく、また免疫システムが活発な状態になる場合も、遺伝子レベルでの影響によるものか、出生の過程で起こるのか、妊娠中の胎内にいる時点からなのか(胎内にいるいつの時点かも)までは、明確でないため、次のステップの検証となる、としています。
また免疫システムが活発に作用する(制御性T細胞を減少・抑制させる)要因として、遺伝的な要素が唯一の原因と言えないのではないかとして、妊娠や出産時における母親の労働状況、帝王切開で生まれたかどうか、抗生物質使用、感染症罹患、腸内細菌の状態、栄養状態や摂取食品などの環境要因が影響している可能性について検証が必要との意見も述べています。
以前から、既に日本をはじめ各国での研究などにより、異常に免疫系が活性化され続けることで、自己のタンパク質や食物、花粉といったもともと無害な物質と反応すると、自己免疫疾患やアレルギーを引き起こし、制御性T細胞(Treg)が抑制として働くことは示唆されており、制御性T細胞(Treg)を増強することで、アレルギー反応や発症を抑制し得る可能性があるとの見方から、日本での研究においては、マウスでの試験により制御性T細胞(Treg)を増強し得るタンパク質がNr4aであり、自己免疫疾患の抑制において中心的な役割を担っているのではと報告しています。
また腸内細菌とアレルギーとの関係に関する研究なども幾つかなされており、アレルゲンを摂取し続けることも免疫に働きかけようとする行為でもあります。
環境要因を含む免疫システムが活発になる要因の解明や、ヒトの炎症性疾患とNr4a遺伝子異常の関連性やヒトにおけるNr4aを人為的に誘導する安全な方法の解明など、アレルギー発症のメカニズムがさらに明らかになることで、具体的な予防策や治療方法がわかるかもしれません。
・Cord blood monocyte?derived inflammatory cytokines suppress IL-2 and induce nonclassic “TH2-type” immunity associated with development of food allergy
・免疫系における恒常性の維持と制御性T細胞
・https://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/04.html
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