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早産と小児期における喘鳴

2016.05.01

投稿者
クミタス

喘鳴出現には様々な因子がありますが、小児期の喘鳴出現因子の1つとして、早産も挙げられます。

・早産
妊娠満期(39週~42週)で生まれた子供での喘息/喘鳴の発症率は8.3%であったが、未熟児では13.7%、中でも妊娠32週未満で生まれた子供では喘息/喘鳴の発症率は妊娠満期の場合に比べ3倍ほどであった
Pre-term birth and asthma: Preterm birth may increase the risk of asthma and wheezing disorders during childhood 2014

2,845名の参加者のうち545名が後期早産児(37週~38週)、後期早産児は新生児ユニットへの入院率、生後~1歳の間の入院率が高かった。
5歳未満の後期早産児の48%に喘鳴がみられ、正期産児における喘鳴出現率38%よりも高く、5歳以上においても、後期早産児では、直近12ヶ月に喘鳴を起こした率が高かった。
Early-term birth is a risk factor for wheezing in childhood: A cross-sectional population study
等の報告があり、喘鳴出現に早産の影響可能性が示唆されています。

・RSウイルス
RSウイルス感染は2歳までにほぼ100%の幼児が1度は感染を経験していると言われていますが、乳児期早期(生後数週間~数カ月間)の感染においては、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こす場合があります。
重症化リスクの高い因子として、生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある、神経・筋疾患、免疫不全の基礎疾患があることも挙げられていますが、早産児であることも挙げられています。また早産児がRSウイルスに感染した場合、重症化することがあり、喘鳴出現、そして喘息発症につながり得る可能性を示唆する報告もあります。

早産リスクを高める要因とは


早産の要因としては様々な可能性が挙げられますが、膣内の状態が影響する可能性について示唆されています。
細菌性腟症は乳酸桿菌優位の膣内細菌巌菌のバランスが崩れ、好気性菌、嫌気性菌が異常に増殖した状態でありpHが5.0以上のことが多いとの意見もあります。
妊娠前から細菌性膣症であることもあり、10~30%程の妊婦に該当しているともいわれています。炎症反応はおこっておらず、半数以上は無症状であるとも言われていますが、絨毛膜羊膜炎を引き起こす微生物が存在する場合、この病原微生物が頸菅で炎症を起こし、そして絨毛膜羊膜炎に至り、早産リスクが高まる可能性があります。
また、腟分泌液中に白血球の1種である好中球が増加している場合、早産リスクが高くなるとの報告もあります。
細菌性腟症治療による早産対策効果については諸論あり、妊娠後期ではさらに効果が低いとの報告や、母体の腸内環境と早産との関連可能性を強調する意見もあります。
腸内細菌巌、膣内細菌巌を健康な状態に保つ上では、乳酸桿菌などが有用であり、また、洗浄しすぎると常在膣内細菌も洗い流してしまったり、拭き方が十分でないと腸内細菌が膣内に入りやすくもなり、蒸れた状態では雑菌繁殖がしやすくなりますので、特に繰り返し細菌巌バランスが悪くなる方は、食事、睡眠も含めた生活上の対策もできると望ましいでしょう。

ほかに、子宮頸管が開大するなどの頸管因子、多胎妊娠や羊水過多などによる子宮内容積の増大、そのほかの因子などが挙げられます。そのほかの因子としては、喫煙、歯周病、やせていること等が挙げられ、また冷え性と早産との関連性についての意見もあります。

出典・参考:早産の予防(2)細菌性腟症:わが国の現状と対策 
Bacterial community in pregnant women linked to preterm birth, study finds
Temporal and spatial variation of the human microbiota during pregnancy.

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