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クロルヘキシジングルコン酸塩によるアナフィラキシー

2017.02.09

投稿者
クミタス

クロルヘキシジングルコン酸塩は、殺菌・消毒目的などで使用されてきており、オロナインH軟膏の有効成分であるなど、馴染みのある皮膚軟膏剤中に含有されていることがあります。
クロルヘキシジングルコン酸塩により、皮膚炎に至ったと考えられる例などは以前から報告されていますが、皮膚以外での手術時の使用等を含め日本では1974年~2013年8月までの間に84例でのクロルヘキシジングルコン酸塩によるアナフィラキシーショックと考えられる例が報告されています。

日本に比べると米国など海外ではクロルヘキシジングルコン酸塩によるアナフィラキシー反応症例報告数は少ないと見られていますが、米国FDAでは2017年2月2日付でグルコン酸クロルヘキシジンを含むOTC製品の製造会社に、重篤なアレルギー反応リスクに関する警告をDrug Factsラベルに追加するよう要請しており(既に歯周病対策向けの口腔ケア製品は対応済み)
FDA Drug Safety Communication: FDA warns about rare but serious allergic reactions with the skin antiseptic chlorhexidine gluconate
https://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm530975.htm

発生リスクを考慮のうえ、今までにグルコン酸クロルヘキシジンを含む製品の使用によりアレルギー反応の疑いがある場合は、代替消毒剤の使用を検討するのが望ましいと述べています。

クロルヘキシジングルコン酸塩の使用においては、粘膜への使用や、創傷部位などの皮膚バリア機能が低下している部位への高濃度使用は、体内への吸収を高めアナフィラキシー発生リスクを高めやすくなるとの意見もあります。

日本において、クロルヘキシジングルコン酸塩が主の有効成分となる市販の軟膏剤を頻用していた29歳女性において、クロルヘキシジングルコン酸塩含有の市販の点眼薬を使用した直後に顔が腫れ呼吸が苦しくなり、後にプリックテストをおこなったところ、含有成分中、クロルヘキシジングルコン酸塩溶液にのみ陽性となり、クロルヘキシジングルコン酸塩による即時型アレルギーと診断された例があり、日本では多数のクロルヘキシジングルコン酸塩含有製品が流通しており、感作される機会が多い可能性を示唆しています。

市販製品においては含有程度が低濃度であっても、感作する可能性も視野に、軟膏等を使用する際は説明文書も確認の上、必要以上に頻用することなく、適した使用をするように心がけるのが望ましいでしょう。

出典:わが国におけるクロルヘキシジングルコン酸塩によるアナフィラキシー発生についての文献的考察
市販点眼薬の添加物であるクロルヘキシジングルコン酸塩による即時型アレルギーの1例

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