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タンパク質分解酵素システインプロテアーゼによる影響

2017.08.16

投稿者
クミタス

ダニアレルゲンDer p 1、Der f 1もプロテアーゼ活性をもつ


タンパク質分解酵素群(プロテアーゼ)の中のタンパク質分解酵素システインプロテアーゼには、パインアップルのブロメリン、キウイフルーツのアクチニジン、パパイアのパパイン、イチジクのフィシンなどが挙げられ、タンパク質を分解するため、システインプロテアーゼを多く含む果物を動物性由来のゼラチンで固めようとすると、ゼラチンを分解し固まりにくくする作用があることは、ご存知の方も少なくないことと思います。
ブロメリン、アクチニジン、パパイン、フィシンを含めシステインプロテアーゼはアレルギー反応を誘導するアレルゲンでもあります。
ダニの主要アレルゲンは、ダニの糞・唾液由来のタンパク質Der p 1、Der f 1(2つをまとめてDer 1)、虫体由来のタンパク質のDer p 2、Der f 2(2つをまとめてDer 2)になりますが、Der p 1、Der f 1はシステインプロテアーゼであり、システインプロテアーゼ活性が高いとアレルギー症状程度に影響を与える可能性があります。

システインプロテアーゼの呼吸器や皮膚における反応


Der p 1、Der f 1とパパインには高い相同性があることがわかっていますが、マウスにパパインを点鼻投与すると、3日以内に肺に炎症の原因となる好酸球が大量に集まり、粘液のムチンの産生が誘導され喘息症状が出現、気道などにシステインプロテアーゼが過剰に侵入すると、気道上皮を破壊しアレルギーを誘導するIL-33を気道内に放出し喘息を引き起こす、とも考えられています。

セロハンテープを貼ってはがしバリア機能に損傷を与えたマウスの皮膚に、ダニの主要アレルゲンDer p 1、Der f 1と相同性の高いパパインを塗布したところ、皮膚炎症とIgE産生が誘導され、プロテアーゼ活性を阻害すると皮膚炎症とIgE産生が消失したことから、プロテアーゼ活性が原因と考えられる、との報告がある等、アトピー性皮膚炎などでもともとバリア機能に損傷のある皮膚に、ダニアレルゲンが付着することでも皮膚炎症、IgE産生を引き起こす可能性があります。
一方、時間経過していないうちの汗には、システインプロテアーゼ活性を阻害するはたらきがあるとの示唆もなされています。
また新たな報告などもご紹介していきたいと思います。


出典・参考:Epicutaneous Allergic Sensitization by Cooperation between Allergen Protease Activity and Mechanical Skin Barrier Damage in Mice
Yasutaka Motomura, Hideaki Morita, Kazuyo Moro, Susumu Nakae, David Artis, Takaho A. Endo, Yoko Kuroki, Osamu Ohara, Shigeo Koyasu, and Masato Kubo "Basophil-Derived Interleukin-4 Controls the Function of Natural Helper Cells, a Member of ILC2s, in Lung Inflammation". Immunity .2014.

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