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急性アルコール中毒と思われたが、アナフィラキシーを起こしていた例

2017.12.25

投稿者
クミタス

忘年会、新年会など飲酒機会の多い時期でもあり、適度な飲酒を心がけたいところでもありますが、飲酒をしており、動けない状態で、呼吸が乱れた状態であったことなどから、搬送に際し第一印象で急性アルコール中毒と思われた方が、実際はアナフィラキシーを起こしていた状態であった例もあります。

30歳前後の女性
小麦、エビの摂食だけでは症状出現しないが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断されており、エピペンを携行していた。
この日はピザを食べ飲酒をしており、終電間近の電車に乗車するため、急ぎ足で地下鉄駅まで向かった。
ホームで座り込んで動けない状態であったところを、地下鉄職員が確認し、椅子式担架に収容し、救急車到着まで地上で待機。
救急隊員が到着するまでに、本人によりエピペン注射をおこなっていた。
呼気からアルコール臭が感じられた、座り込んで動けない状態、呼吸に乱れがあったことなどから救急隊員は急性アルコール中毒との第一印象を持ったが(皮膚の発赤や蕁麻疹、顔の腫れも見られなかった)、本人が「ピザを食べた、小麦アレルギーで苦しくなりエピペンを使った。」と何とか聞き取れるか細い声で話せ、息苦しさ、吐き気、腹痛を主訴。所持していたバッグ内に使用済みのエピペンを確認できたことなどにより、アナフィラキシーショックを起こしている状態なのではないか、と救急隊員が認識(血圧70mmHg(触診))。
それにより、心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保および輸液の実施へと方針転換し、医師に指示要請を行い、急速輸液を実施し、救急医療機関へ搬送された。

抗原である小麦の摂食、飲酒、急ぎ足で地下鉄駅まで向かったことなどが複合要因ともなり、食物依存性運動誘発アナフィラキシーが誘発された、と考えられる例になります。
患者さん自身で、エピペン投与ができ、既往、状態を説明できたこともあり、比較的早期に適切な対応が取られることとなりましたが、飲酒、また激しい運動でなくても急ぎめの歩行、階段昇降などは、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの誘発因子になり得ることにご留意頂ければと思います。


出典・参照:近代消防 救急事例報告 (Case report 08) 急性アルコール中毒と思われた傷病者がアナフィラキシーショックであった事例

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