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魚肉練り製品について

2018.02.07

投稿者
クミタス

魚肉の主要アレルゲンとみられるパルブアルブミン(PA)は、魚に共通して存在し、魚種間で抗原交差性があると考えられていますが、魚種や部位により含有量に違いがあります。また、ほかのアレルゲンとしてエノラーゼ、アルドラーゼ、コラーゲンなども挙げられます。

かまぼこにおいては、弾力が特徴ですが、かまぼこのタンパク質の約7割を占める塩溶性タンパク質が影響を及ぼし、かまぼこづくりにおいては水溶性タンパク質など、弾性の妨げにもなるタンパク質などを除去する作業をおこないます。
パルブアルブミンは熱耐性がありますが100℃超である程度の加熱時間での高温加熱や高圧処理により抗原性が低減します。また水溶性タンパク質のため魚の身を水でさらす、水さらし処理によりパルブアルブミン量は低減します。このときにコラーゲンは水溶性でないため、低減しにくい面があります。
また加塩によりナトリウムイオンや塩素イオンがアクチンやミオシンといった筋原繊維タンパク質に浸透すると、ミオシンフィラメントはミオシン単量体になり、アクチンフィラメントも分解されます。そしてアクチンと、ミオシン単量体が結合しアクトミオシンが生成され、加熱によりゲル化し弾力性が高まります。

冷凍することでスポンジ様になるなど食味が低下しやすかったスケトウダラの魚肉において、変性を抑制したスケトウダラの冷凍すり身が開発されたことで、スケトウダラの使用機会も増えましたが、かまぼこづくりにおいては、足が強く(弾力がある)、坐りがよく(固まりやすい)、戻りにくい(固まったものを加熱しても弾力が弱くならない)原料魚が適しており、マエソ、トビウオ、マダイなどは足が強く坐りがよい魚に挙げられます。
製造方法にもよりますが、ミオシンなどの筋原線維タンパク質が比較的多く変性温度が低い、パルブアルブミンなどの筋形質タンパク質が比較的少ない魚は適しており、水さらしにより旨味成分も抜け出てしまうこともあるため、他の魚や調味料も使用されることがあります。

出典・参照:低アレルゲン化かまぼこの調製:水晒し・肉挽き・塩析による魚肉中のパルブアルブミンおよびコラーゲンの除去効果の検討

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