1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

気管軟化症のケースにおいて

2023.12.04

投稿者
クミタス

気管支喘息の鑑別疾患として、上気道疾患(喉頭炎、喉頭蓋炎、vocal cord dysfunction)、中枢気道疾患(気管内の腫瘍、気道異物、気管軟化症、気管支結核、サルコイドーシス、再発性多発軟骨炎)、気管支~肺胞疾患(COPD、びまん性汎細気管支炎、肺線維症、過敏性肺炎)、循環器疾患(うっ血性心不全、肺血栓塞栓症)、薬剤(ACE阻害薬などによる咳)、その他(気胸、迷走神経刺激症状、過換気症候群、心因性咳嗽)、アレルギー性呼吸器疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)、好酸球性肺炎)などが挙げられています。
気管軟化症とは,気管軟骨が何らかの原因で剛性を保てなくなり、息を吐いたときに気管や気管支の断面が扁平となり内腔が狭くなる疾患で、気道が狭くなることによって起こる喘鳴、犬が吠えるような咳(犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう))、呼吸困難・チアノーゼ、咳、痰、体重増加不良、経口摂取不良などの症状が出現することがあります。
今回は学童期まで重症の気管支喘息として加療されていた気管軟化症の例を掲載します。
 
症例1
12歳女児。3歳時に気管支喘息と診断され、吸入ステロイド薬(ICS)の吸入やロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の内服を行っていたが、運動時に生じる呼吸苦症状が持続していた。当科受診時の呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)および呼吸機能検査は正常であった. 鑑別のため喉頭気管気管支鏡検査を施行し、気管軟化症の診断に至った。
症例 2
9歳女児。5歳時に気管支喘息と診断され、吸入ステロイド薬(ICS)吸入や ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の内服を行っていたが、運動時の呼吸苦が持続していた。8歳時にマラソン大会にて呼吸苦と低酸素血症、徐脈が生じ入院の既往があった。9歳時転居のため当科を受診した。呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)は5bpm未満であり、呼吸機能検査は 正常であった。明らかな呼気性喘鳴の既往はなく、SABA吸入で呼吸苦症状が改善しないことから鑑別のため気管支ファイバースコープ(BF)を施行し、気管軟化症と診断した。
上記例では夜間経鼻陽圧呼吸にて気管支ファイバースコープ(BF)再検査では所見の改善を認め、吸入ステロイド薬(ICS)吸入を中止できていると記載されています。
気管支喘息の鑑別疾患、呼吸器疾患・症状などについては今後も別途掲載したいと思いますが、よろしければ以下もご参照ください。
喘息発作と混同されることのあるvocal cord dysfunction(VCD)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3683 
気管支異物が原因で咳が続く場合~肺炎、喘息?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2652
百日咳と喘息
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3080
炭酸飲料と気管支
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4580

出典・参照:小谷碧 桐野沙希子 東範彦 國井優子 大谷智子 長谷川久弥 松岡尚史 東京女子医科大学附属足立医療センター小児科 東京女子医科大学附属足立医療センター周産期新生児診療部・新生児科 学童期まで気管支喘息として加療されていた気管軟化症の2例

    {genreName}

      {topics}