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カシューナッツアレルゲンの特徴から

2024.12.22

投稿者
クミタス

カシューナッツの主要アレルゲンとしては以下等が考えられており、
・Ana o 3   2S アルブミン
(2Sアルブミンは、11Sグロブリン、7Sグロブリンと同様に種子貯蔵タンパク質で、その中でも2Sアルブミンは分子量が小さい特徴があります。また分子が強い結合で結ばれた安定構造であり、消化されにくい可能性があります)
・Ana o 1   7Sグロブリン
・Ana o 2   11S グロブリン(レグミン様タンパク質)
・Ana o    プロフィリン
カシューナッツアレルギーの診断において、Ana o 3特異的IgE抗体価(sIgE)の精度の高さに関する示唆も見られています。 今回はAna o 3特異的IgE抗体価と重症度との関連に関する報告について掲載します。
 
2019年2月~2024年2月にカシューナッツ食物経口負荷試験をおこなった児のうち、食物経口負荷試験前12か月以内にカシューナッツ及びAna o 3 sIgE 値を測定していた58人を対象として、各sIgE値と重症度判定の指標である Anaphylaxis Scoring Aichi 総合スコア(TS)を累積負荷蛋白量(Pro)で除した値(TS/Pro)の関連について解析した結果、TS/ProとのSpearman相関係数は、カシューナッツsIgEでは0.36(p=0.091)と有意な相関を認めなかったが、Ana o 3 sIgEでは 0.51(p=0.013)と相関を認めた。カシューナッツsIgE/総IgEは0.43(p=0.057)、Ana o 3 sIgE/総 IgE は 0.61(p=0.002)だった。また、Ana o 3 sIgE値が陰性の2例について最終負荷量2g以下でアナフィラキシーを示す程度の症状を呈した。Ana o 3 sIgE はカシューナッツアレルギーの重症度の指標として比較的有用と考えられた。しかし、Ana o 3 sIgE が低値の中にも TS/Pro 高値の症例もあり、注意が必要である(出典・参照:鬼頭周大,望月聡,松井照明,北村勝誠,高里良宏,杉浦至郎,伊藤浩明 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科 カシューナッツ特異的IgE抗体価の重症度判定における有用性の検討)

Ana o 3 は、2S アルブミンで複数のナッツや豆、穀類に共通して含まれることのあるアレルゲンコンポーネントになりますが、他のナッツにおける2S アルブミンと重症度について、他のアレルゲンコンポーネントに関しても別途掲載したいと思います。
 
未摂取状態での感作に関して〜ピーナッツ、ナッツ
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/882
カシューナッツ―柑橘類種子アレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1680
カシューナッツによる食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1369

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