アニサキスは線形動物回虫目アニサキス亜科のアニサキス属、シュードテラノーバ属に属する線虫で、Anisakis simplex sensu stricto また Anisakis pergreffii の2種が日本ではアニサキス症やアニサキスアレルギーの原因となることが多いとみられており、Anisakis simplex sensu stricto はより魚介類の内臓から筋肉への移行率が高いとの示唆があります。
アニサキスアレルギーのアレルゲンと症状出現
アニサキスアレルギーは生きた虫体により症状出現する場合以外に、死んだ虫体により症状出現する可能性があり、生きた虫体により症状出現する場合は、アニサキス症に伴い消化管粘膜内侵入までの時間により、症状出現までの時間は数分から数時間と幅が広くなる面があると見られています。
47歳男性:7時間後に症状出現
サバ、タイ、エンガワ、ヒラメの寿司を摂食し7時間後に膨疹と呼吸困難が出現
ImmunoCAPによる特異的IgE:アニサキスがclass 5
ELISAによる特異的IgE:アニサキス非加熱粗抽出液、Ani s 12 が強陽性、Ani s 2、Ani s 3 が弱陽性
42歳男性:直後に症状出現
サバ、イカ、シラス、ヒラメの刺身を摂食した直後に膨疹、呼吸困難、意識障害が出現
ImmunoCAPによる特異的IgE:アニサキスがclass 6
ELISAによる特異的IgE:アニサキス非加熱粗抽出液とAni s 12 が強陽性、Ani s 1、4 が中程度の陽性、Ani s 6 が弱陽性
魚介に即時型アレルギーの既往があり、
アニサキス特異的IgEが陽性で、アニサキス非加熱粗抽出液の皮膚プリックテストが陽性の7人のうちImmunoCAP ISACによる解析では、Ani s 1 は5人で陽性、Ani s 3 は全員陰性。
また、加熱粗抽出液の皮膚プリックテストを5人におこなったところ、5人とも陽性で、そのうち4人でAni s 1 に陽性であった。
出典・参照:海産物摂食により発症したアニサキスアレルギー ほか
アニサキスアレルゲンのタイプ
アニサキスアレルギーにおけるアレルゲンとしては、Ani s 1~Ani s 14、Ani s 11-like(Ani s 11 様タンパク)、トロポニンC などが考えられており、Ani s 1、Ani s 2、Ani s 7、Ani s 12 などが主要アレルゲンである可能性があります。
プロテアーゼインヒビター:Ani s 1、Ani s 4、Ani s 6
Ani s 1、Ani s 4 は耐熱性アレルゲンと見られています。
筋肉タンパク質:Ani s 2、Ani s 3、トロポニンC
Ani s 3 はトロポミオシンになりますが、甲殻類、軟体動物のトロポミオシンと抗原交差性は低いとの示唆もあります。
線虫特有のタンパク質:Ani s 5、Ani s 8、Ani s 9
Ani s 5、Ani s 8、Ani s 9 は耐熱性アレルゲンと見られています。
反復構造を持つタンパク質:Ani s 7、Ani s 10、Ani s 11、Ani s 11-like、Ani s 12
反復構造を持つタンパク質は、一般にアレルゲン性が高い傾向があり、上記例など、Ani s 12 がアレルゲンと考えられるケースも複数見られています。
アニサキスアレルギーにおけるアレルゲンにおいては、排泄・分泌タンパク質、体構成タンパク質のタイプにも分かれ、複数のアレルゲンが発症に関与している場合もありますが、また新たな情報をアップデートしていきたいと思います。
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