1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

妊娠中の気管支喘息においては

2018.12.16

投稿者
クミタス

妊婦さんの気管支喘息の有病率は3~8%とみられており、気管支喘息を合併している妊婦さんにおいては、妊娠高血圧症、早産、胎児発育不全リスク、重責発作は胎児の低酸素血症を惹起するリスクが考えられるとことでもあります。妊娠前の喘息の重症度が高いほど、妊娠中に喘息が増悪するリスクが高い面がありますが、妊娠中の気管支喘息は1/3ほどの方で症状が軽快するともみられています。

2015年1月~2016年10月までに出産歴のある気管支喘息患者さん96人において、妊娠中に喫煙していたのは23人(23.9%)、妊娠判明時に気管支喘息の治療がおこなわれていたのは37人(31.6%)、妊娠期間中に83人(70.9%)で吸入ステロイドが使用されていた。喘息増悪は52人(44.4%)で認めたが、妊娠前から吸入ステロイドを使用していた群では喘息増悪が少なかった。また、喘息増悪の有無により分娩週数、出生体重、Apgar scoreに差は認めず、ステロイド吸入薬の使用による胎児の影響はないとみられた(出典・参照:気管支喘息を合併した妊娠症例の検討 鳥取大学医学部 原田哲也 福嶋健人 長谷川泰之 倉井淳)

など、妊娠中に気管支喘息を合併している場合においても、妊娠前からの吸入ステロイド使用により喘息増悪が減少し得る可能性が伺えるところでもあります。
重症度等にも依りますが、妊娠前、分娩前に喘息に対して最適な管理を行うことで、母体や胎児のリスクを軽減し得る面があり、分娩中の重症喘息発作を起こしにくくなるとみられており、妊娠前に喘息の重症度が評価され、妊娠成立までに喘息の病態が改善されることが望ましいとの示唆もあります。
妊娠中の気管支喘息においては、使用可能な薬剤かどうかを確認のうえ、気管支喘息の病状の安定を優先し、必要な薬剤は継続使用することが望ましいでしょう。

    {genreName}

      {topics}