ケーナは南米ペルーやボリビアが発祥の縦笛ですが、ケーナに接触していて皮膚症状を生じる場合があります。

61歳女性。8月中旬に両手指の強い痒みと痛みを伴う水疱・紅斑と下口唇のびらん及び両頬部の紅色丘疹が出現した。別の皮膚科医院でヘルペスウイルス感染症の診断で加療されたが軽快せず、4日後に当科を受診した際、下口唇と両手指DIP関節より末梢の手掌側にびらんがあり、顔面と前腕には多形紅斑様皮疹が多発し、一部癒合していた。詳しく問診したところ、症状が発現する13日前よりアンデス民族楽器の縦笛であるケーナ教室に通い始め，ケーナ接触部に症状が強かったことから，ケーナによる接触皮膚炎症候群や光接触皮膚炎の可能性が考えられた。
プレドニゾロン 20 mg/day内服を開始し，以後漸減して皮疹は軽快。使用していたケーナ本体を削ったものと、患者さんがケーナの材料と申告していたジャカランダ（Jacaranda）原木を、それぞれ10%（w/v）で精製水あるいはエタノールに24時間浸しパッチテストの原液とし、さらに10倍、100倍、1000倍希釈液を作成して、パッチテストとフォトパッチテストが行われた結果、ケーナの精製水抽出原液（++）、10倍と100倍希釈（+）、ケーナのエタノール抽出原液と10倍希釈（++）、100倍希釈（+）、ジャカランダのエタノール抽出原液（+?）であった。フォトパッチテストも同様の結果であり、ケーナによる接触皮膚炎症候群と診断された。
さらに成分分析の結果，患者さんの使用していたケーナは、当初原木と申告されていたジャカランダではなく、ダルベルギオン系物質が含まれるMachaerium属という木材が材料であることが判明した（出典・参照：野村祐輝, 上津直子　南米の縦笛ケーナquenaによる接触皮膚炎症候群）。

楽器を使用していて皮膚症状、金属アレルギーの症状が出現する場合があります。よろしければ以下もご覧ください。
楽器とアレルギー～ヴァイオリンの例
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マウスピースによる金属アレルギーの可能性
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カシューナッツシェルオイルによる接触性皮膚炎～木材塗料
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