職業上、生育環境上、日常的に吸入、接触、摂食する機会のある方での報告が主になり症例報告数は多くはありませんが、みそ醸造を実業とする方、みそ醸造家に育った方において、麹、麹菌、みそに反応を示す場合があります。

症例1：味噌醸造家に育った兄弟の兄（32歳）。中学時より麹吸入時呼吸困難を繰り返していた。
症例2：味噌醸造家に育った兄弟の弟（22歳）。小児期から手足の腫脹、腹痛、下痢、嘔吐を繰り返し、麹吸入時の呼吸困難に加え、成人になってから摂食後2時間後に腹痛・嘔吐があった。
2症例ともに自家製の麹、麹菌、味噌のプリックテストが強陽性で、症例2は血清補体価CH50およびC4が著明に低値で、症例1は麹菌に対する即時型機序、症例2は補体が関与する機序が考えられた。

ほかにも、家業は味噌製造業の25歳男性にて、くり返す気管支喘息、血清IgE上昇、肺浸潤影があり、気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像が認められ、麹菌(Aspergillus oryzae)およびその亜種が喀痰中より検出。オクタルニーの沈降抗体法、吸入誘発試験、経気管支肺生検などを経てアレルギー性気管支肺アスペルギルス症と診断された例なども見られています。

麹菌(Aspergillus oryzae)に対する即時反応と見られるケース、補体が関与するケース、麹菌が産生するαアミラーゼに対する即時反応の可能性などが考えられています。
うどん屋、そば屋を開業し、開業後に店主、従業員が小麦アレルギー、そばアレルギーを発症する場合がありますが、成育環境とアレルギーについては以下でも掲載しておりますので、よろしければご参照ください。
成育環境とアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2198


出典・参考：味噌醸造を家業とする兄弟に発症した麹菌アレルギーの2例
Aspergillus oryzae およびその subtype によるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例
味噌、醤油および酒の製造に使用されている Aspergillus oryzae によるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例