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灯油皮膚炎について

2020.10.09

投稿者
クミタス

皮膚に灯油が付着した状態のままでいる場合、皮膚炎を生じることがあります。

症例1:66歳男性。飲酒し、灯油を被った衣類を身に着けたままの状態で灯油に18時間程度曝露し、疼痛を伴う紅斑、びらん、水疱を生じた。加療により受傷12日目に瘢痕を残さず上皮化した。
症例2:1人暮らしの87歳男性。左上下肢の脱力を自覚していたが、正午ごろ灯油の入れ替え作業中に、意識消失をきたし左半身まひを生じ倒れたところ(転移性脳腫瘍の可能性)、容器より流れ出た灯油が約21時間左半身に付いた状態となった。左半身に紅斑、びらん、水疱を生じていたが、加療により34日目に上皮化が完了した。

灯油での皮膚パッチテストの結果においては、2時間で紅斑の形成、12時間で水疱形成が見られたとの報告もありますが、何らかの事情で長時間皮膚に付着した状態の後、皮膚炎を生じることがあります。
皮膚バリア機能が低下した状態、びらんの状態で灯油を経皮吸収すると、血中からも灯油成分が検出されるようになり、灯油中毒を起こす場合もあります。
灯油皮膚炎は70歳以上での症例が多い傾向がありますが、石油ストーブや石油ファンヒーターなどを使用しており、灯油を入れる機会のある方は、ご留意頂ければと思います。


出典・参照:谷口 知与, 和田 尚子, 江藤 綾桂, 木村 七絵, 内 博史, 灯油皮膚炎, 西日本皮膚科, 2019, 81 巻, 6 号, p. 457-458, 公開日 2020/03/12, Online ISSN 1880-4047
井上 真衣, 山口 崇之, 鈴木 翔太郎, 大山 拓人, 川上 善久, 髙木 誠司, 大慈弥 裕之, 灯油中毒症と細菌感染をきたした広範囲灯油皮膚炎の1例, 創傷, 2018, 9 巻, 1 号, p. 37-41, 

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