酵母含有サプリメントを摂取していた母親の母乳で発育していた児における症状出現

酵母による食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)の疑い例については以下でも掲載していますが、
酵母と消化器症状
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4159

酵母含有サプリメントを摂取していた母親の母乳で発育していた児において、血便、下痢症状が出現し、母親が酵母含有サプリメントの摂取を中止してからは、児での消化器症状出現がしなくなった例も見られています。

日齢38の女児にて日齢5より持続する血便を主訴に受診。10回/日の下痢と、末梢血好酸球増多（16％）、便中ヒトヘモグロビン陽性も認められ、乳児消化管アレルギーが疑われた。母乳中心の混合栄養であったため、人工乳を中止し、母に乳製品の除去食が指導されたが血便は改善しなかった。しかし母が妊娠前から摂取していた市販の葉酸サプリメントを偶発的に中止したところ、速やかに血便が消失した。そこでサプリメントの経母乳負荷試験を行ったところ、児の便中ヒトヘモグロビンは再上昇し再現性を確認した。
サプリメント成分のプリックテスト、リンパ球刺激試験の結果と合わせて、葉酸サプリメントによる消化管アレルギーと診断され、サプリメントに含有される酵母が原因と推測された（出典・参照：宮下 弘, 藤巻 有希, 正田 八州穂, 早乙女 壮彦, 小峰 由美子, 渡邊 美砂, 母の摂取していた葉酸サプリメントが原因となった消化管アレルギーの乳児例, 日本小児アレルギー学会誌, 2021, 35 巻, 1 号, p. 109-116）。

葉酸サプリメントは妊娠前・中～授乳期に摂取される方も少なく、葉酸サプリメント製品で亜鉛含有酵母が使用されている商品も流通しています。上記例は母乳経由での摂取が症状出現の要因となる可能性も考えられるところですが、他サプリメントによる症状出現例なども掲載していきたいと思います。