1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

コバルトによるアレルギー

2022.03.18

投稿者
クミタス

金属アレルギーは、皮膚に金属が接触して皮膚症状が出現するタイプ、歯科金属や食物・飲料、薬剤に含有される金属が体内で吸収され発症する全身型金属アレルギーのタイプがあります。全身型金属アレルギーで比較的出現することの多い汗疱状湿疹においては、ニッケル、クロム、コバルトのパッチテストで陽性を示すことが多いとの示唆もあります。

コバルトを多く含む食品( 金属制限食指導表(金属を多く含む食品)から)
豆類、木の実、レバー、ココア、チョコレート、キャベツ、ホタテ貝、香辛料、紅茶、ビール、コーヒーなど。

ビタミンB12は構造中にコバルトが含まれているため、コバルトに全身型のアレルギー反応を示す方においては、ビタミンB12含有の内服薬や注射薬投与後に、症状が出現する場合があります。
また、歯科金属や食物・飲料、内服薬や注射薬以外に、一部の粘土やセメント、メッキ、塗料(青色染料、ラッカーなど)、染着色(青色系)、隠顕インク/インク、絵具、顔料、陶器うわぐすり、口紅、クレヨン(コバルト色)、蓄電池、飼料、ゴム配合剤、乾燥剤、制汗剤、合金工業、ガラスエ業などにおいても、コバルトの感作源となることがあります。

例:コバルトが原因と考えられる例
12歳女性。3カ月前からブラスバンド部でトランペットの演奏を始め、約1カ月前から手掌・指腹に痒みのある小水疱・紅斑が悪化し受診。両手掌から前腕に小水疱・痂皮が多発し、汗疱性湿疹の状態であった。金属パッチテストでは、48時間後は塩化コバルト、銅が+、1週間後は塩化コバルトが++であった(ICDRG基準)。
まずトランペットとの接触を避けたが皮疹が十分に改善しないため、コバルト除去食も行ったところ皮疹が改善した。皮疹改善後、コバルト負荷食で同様の皮疹が再燃した。
マウスピースの劣化によりメッキが剝がれコバルトが露出し、唾液でイオン化することにより、経口的にコバルトが曝露され全身型金属アレルギーを生じたと考えられた(出典・参照:中嶋一史 越後岳士 筒井清広 伏田啓子 石川県立中央病院皮膚科 映寿会みらい病院皮膚科 コバルトアレルギーによる汗疱状湿疹の1例)。

金属間での交差反応性や偽陽性反応についても、別途掲載したいと思います。

参考:クロムが原因と考えられる例 
マウスピースによる金属アレルギーの可能性
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2989

    {genreName}

      {topics}