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コハク化ゼラチンとアレルギー

2023.01.30

投稿者
クミタス

コハク化ゼラチンは、ゼラチンに有機酸の無水コハク酸を作用させてできた特殊なゼラチンで、医薬品添加物として医薬用のソフトカプセルの皮膜などに使用されています。
ゼラチンにはアレルギー反応を示さず、コハク化ゼラチンにアレルギー反応を示す場合もあります。
 
40歳女性。2年前にイブプロフェン含有市販感冒薬内服直後に蕁麻疹、呼吸困難を呈し,アナフィラキシーショックと診断された。顔面腫脹、喉頭違和感に対しヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投与後に症状の増悪を呈したこともある。被疑薬の市販感冒薬の主剤イブプロフェンの内服テストは陰性であったが、市販感冒薬as isの内服では陽性を示し、添加剤に対する即時型アレルギーが疑われた。成分別プリックテスト施行にて、主剤のイブプロフェン陰性、添加剤ではコハク化ゼラチンのみ陽性、ゼラチン陰性、好塩基球活性化試験も同様の結果を示した。コハク酸含有注射剤を用いた皮内テストも陽性であり、コハク酸に対するIgE介在型即時型アレルギーと診断された。コハク酸化合物の除去指導により症状の再発はない(出典・参照:山野希  足立厚子  大塚晴彦  井上友介  白井成鎬   織田好子   福永淳  兵庫県立加古川医療センター皮膚科  神戸大学大学院医学研究科皮膚科学分野  添加剤として含有されたコハク酸に対する即時型アレルギーが原因と診断したイブプロフェン含有市販感冒薬によるアナフィラキシーの1例)。

食品添加物としてコハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウムが使用されることがあります。コハク酸は二枚貝、藻類、菌類などに含まれる成分でもありますが、食品添加物以外にも入浴剤やメッキ薬などにも使用されることがあり、コハク酸二ナトリウムは貝類の旨みが特徴の複合調味料の成分としても知られています。
 
静注用副腎皮質ステロイドにはコハク酸エステル型(ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾ ロンなど)とリン酸エステル型(デキサメタゾン、ベタメタゾンなど)がありますが、コハク酸エステル型の静注用副腎皮質ステロイドをアスピリン喘息に急速静注すると高頻度で喘息発作の誘発や喘息症状の増悪がみられる、との示唆もあります。 
今後も情報を追記していきたいと思います。

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