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未破裂コーンによる窒息

2024.05.06

投稿者
クミタス

豆やピーナッツ、ナッツを誤嚥し、喉頭や気管に詰まり窒息することがあります。噛み砕く力の弱い小児では誤嚥リスクが高い面がありますが、購入したポップコーンに含まれていた未破裂コーンが原因となったケースを掲載します。

1 歳 9 か月、女児。体重:13 kg、身長:80 cm。
大型商業施設ゲームセンターのポップコーン製造自動販売機からポップコーンを購入し、ポップコーンが入った紙コップ様の容器を児自身が持ち、ショッピングカートに乗りながら自由に食べ、両親ともに児を常時見てはいなかった。ポップコーンの大部分を摂取し、児は容器の底に残っていたポップコーンを食べようと容器を傾け一気に摂取した直後に、児がむせ込んだため、母親が本児の背部を叩打した。児は未破裂コーンを数個吐き出したが、間もなく顔色不良となり全身脱力し、反応が消失した。通りがかりの一般人により心肺蘇生が開始され、1分後に反応が出現し救急要請となった。
蘇生から約 1 時間後に医療機関に到着。到着時のバイタルサインは体温 36.5℃,心拍数 172 bpm,血圧 90/27 mmHg,呼吸数 20~30/分程度,SpO2 99%(酸素マスク 8 L/分投 与),GCS E4V2M2 計 8 点で、静脈血液ガス:pH 7.103,pCO2 74.8 mmHg,HCO3 - 17.7 と著明な呼吸性アシドーシスを認めた。気管挿管を施行した後も、右胸郭の動きは不良であったが、ETCO2 50 mmHg台に落ち着いた。胸部 CT にて右主気管支に 6 mm 程度の異物を認めたため、気管支鏡検査を施行。
気管支鏡検査にて右主気管支に未破裂コーンを確認し、バスケットカテーテル等で摘出、摘出後は心停止後症候群として5日間ICUにて全身管理を行い、その後一般病床でリハビリテーションを行った。徐々に発語と粗大運動の回復がみられ、退院前には病前と同様の様子に戻っていき、後遺症なく退院となった。

その場で製造し販売されているポップコーンにおいては、市販のポップコーン製品よりも未破裂コーンが含まれている可能性がより高い面があります。また、容器の底に残っていたポップコーンを食べようと容器を傾け、一気に口に流し入れると、ポップコーンに含まれていた未破裂コーンを目で確認しない状態で勢いがついた状態で口に入ることにもなり得ます。破裂済みのポップコーンであっても窒息リスクが低い食品ではないうえに、未破裂コーンは表面が丸く平滑で、硬くて嚙み切りづらいため、窒息につながる危険性が高くなる、との示唆もなされています。一気に食べることなく、未破裂コーンが含まれている可能性があることも認識いただくのが望ましいでしょう。

出典・参照:日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 No. 129 未破裂コーンの誤嚥による窒息

食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/

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