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マイコバクテリウム・ケロネー皮膚・軟部組織感染症

2023.10.08

投稿者
クミタス

非結核性抗酸菌に属する M.chelonae (マイコバクテリウム・ケロネー)は、発育スピードが早い抗酸菌 rapidly growing mycobacterium(RGM)で、25~40℃で発育しやすく、土壌、水、塵などの至る所で見られ、傷や外科処置創部感染などによる皮膚部位で確認されることがあります。M. chelonae (マイコバクテリウム・ケロネー)皮膚・軟部組織感染症においては、海外にてタトゥーが原因と考えられる報告例があり、またイヌ、ネコによる咬傷後の発症例などもあります。
 
82歳女性。右第3指基部の背側に23×11mmの弾性硬の淡紅色結節があり、生検で類上皮細胞肉芽腫を認めた。再生検による抗酸菌培養で迅速発育性抗酸菌を検出し、質量分析の結果、Mycobacterium chelonae(マイコバクテリウム・ケロネー)と同定し、詳細な問診により、発症の数週前に同部を飼い犬に噛まれていたことが判明した。クラリスロマイシンを7か月間投与後、縮小した病変を切除し植皮した(出典・参照:和田茜, 長谷川道子, 田村敦志 伊勢崎市民病院皮膚科 産業医科大学皮膚科学教室 イヌ咬傷後に生じたMycobacterium chelonae皮膚感染症の1例)。
 
全身性エリテマトーデスおよびネフローゼ症候群と診断され、ステロイド内服が長期継続されている方で、自転車で転倒し左膝下部を受傷、発赤、縫合手術をうけた後、創部が潰瘍化、夜中に転倒し右半身打撲、右膝に壊死を伴う侵襲病巣を形成し、創部膿からM.chelonae (マイコバクテリウム・ケロネー)が分離された例などもあります。
M.chelonae (マイコバクテリウム・ケロネー)以外の非結核性抗酸菌に関しても別途掲載したいと思います。

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