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花粉飛散時期の運動でアナフィラキシーを繰り返した例

2023.10.18

投稿者
クミタス

ヒマラヤ杉(マツ科)と、カモガヤ等のイネ科植物が群生する地域の伐採現場を通った約15分後から、上眼瞼と口唇を中心とした顔面の浮腫、全身チアノーゼ、喘鳴を伴う呼吸困難が出現し、イネ科植物花粉の大量吸入によるアナフィラキシーショックと考えられたケースなども見られていますが、花粉飛散・集積時期にアナフィラキシーが重篤化する可能性が示唆されています。
アナフィラキシーの兆候・初期症状、増悪因子
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3516 
 
また、小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーの患児で、小麦を摂取せずに運動した際にもアナフィラキシーを繰り返し、イネ科花粉、イネ科植物が関与したと考えられるケースの報告も見られています。

8歳男児。9月、10月に小学校で運動中に呼吸困難感と蕁麻疹が出現した。現地調査をおこなったところ、小学校は田畑に囲まれており、稲刈りの時期であった。2月と3月に小麦摂取後に運動し呼吸困難感、蕁麻疹、嘔吐を認め、特異的IgE(UA/mL)は小麦0.27、カモガヤ3.89、小麦+運動負荷試験は陰性であったが、アスピリン+小麦+運動負荷試験でアナフィラキシーが誘発され、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された。
その後、3月に小麦を摂取せずに運動した際にもアナフィラキシーを2回認め、再び現地調査をおこなったところ、小学校の周囲は大麦(はだか麦)が開花しており、イネ科花粉の関与が疑われた(出典・参照:村上至孝 楠目和代 愛媛県立今治病院 愛媛大学 イネ科花粉の飛散時期の運動でアナフィラキシーを繰り返した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの1例)。
上記のケースでは、運動前に小麦を摂取しないようにし、フェキソフェナジン(抗ヒスタミン薬)の予防内服を追加したところ、誘発症状を認めなくなったようですが、イネ科花粉の吸入やイネ科植物との接触により、小麦を摂食せず運動した際にも食物依存性運動誘発アナフィラキシーを発症する可能性があることに、ご留意いただくのが良いかもしれません。

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