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ビタミンD欠乏のケースにおいて

2023.11.10

投稿者
クミタス

ビタミンD欠乏については以下ページでも掲載しておりますが
ビタミンD欠乏について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4389 
ビタミンD欠乏性低カルシウム血症について~過度な食物除去に加えて
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3314 
今回は、ビタミンD欠乏性くる病と考えられるケースについて掲載をしたいと思います。

生後3か月時から近医小児科でアトピー性皮膚炎、食物アレルギーと診断され、3歳時からは卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、魚類の除去をおこない、除去が継続されていた。受診半年前から持久走の際に、両ひざ、足関節痛が出現し、階段昇降が困難になり、近医整形外科から紹介となった。多品目の食事制限があり、単純X線にて骨萎縮を認めたため、くる病が疑われた。
血清カルシウム低値、高アルカリホスファターゼ(ALP)、副甲状腺ホルモン(PTH)高値、25(OH)D低値があり、上下肢の単純X線からビタミンD欠乏性くる病と診断された。乳酸カルシウム、ビタミンDの補充を行い、栄養指導をおこなった。受診1年後には血清カルシウムは正常化し、歩行困難は改善した。アトピー性皮膚炎の治療を継続し、アレルギー食品のみではなく、その他の食事内容についても十分配慮し、経口負荷試験をおこない、除去解除を検討している(出典・参照:宮城裕人 新垣洋平 新垣智也 那覇市立病院小児科 歩行障害を契機に発見された、多品目の食物アレルギーに対する食事制限に伴い発症したビタミンD欠乏性くる病の1例)

新しい骨が作られる際に、骨を丈夫にするためにカルシウムとリンによる石灰化がおこなわれますが、くる病においては骨の石灰化が妨げられることでO脚、X脚、歩行開始の遅れ、身長の伸びが悪い、関節部が盛り上がるなどの症状が現れることがあります。ビタミンD欠乏性くる病は、ビタミンDが欠乏することにより、カルシウムやリンが不足して引き起こされるくる病を指します。
ビタミンDが欠乏し、腸からのカルシウム吸収が低下すると、血中のカルシウム濃度を上げようとして副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されます。副甲状腺ホルモン(PTH)には、腎臓でのカルシウムの排泄を減らしたり、骨のなかに存在するカルシウムを血液中へ送るために骨を溶かすはたらきなどがあり、古い骨が壊される骨吸収が促進し、カルシウムが血液中に溶け出すとともに、腎臓でのリン排泄が過度に進み低リン血症も生じ、石灰化されない弱い骨が増え、くる病を引き起こすと考えられています。
ビタミンD欠乏性くる病の治療においては、ビタミンD補充、またカルシウムが不足していることが多いことからカルシウム補充、食事の内容や日照など生活の改善などが挙げられ、発症早期に治療を開始することで、骨の変形や身長の伸びは改善することが多いとも示唆されています。
くる病についてはまた別途掲載したいと思います。

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