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OAS(口腔アレルギー症候群)の原因物質~果物・野菜アレルギー

2015.07.31

投稿者
クミタス

​花粉との交差反応による場合と花粉と同じタンパク質に反応する場合が


OAS(口腔アレルギー症候群)は、もともと花粉症の症状があった方が花粉と交差反応のある果物・野菜を摂取することで症状が出現することが知られています。
ですがほかに、花粉と同じタンパク質を含む果物・野菜を摂取した場合にOASの症状が出るケースがあり、花粉症の症状がなくてもOASの症状が出ることもあります。

花粉症がなくてもOASの症状が出るケースとは


花粉症を伴わないOASでは、脂質輸送蛋白質(LTP:Lipid Transfer Peptidase)が重要な抗原になります。

LTPは胃に存在する消化酵素のペプシンで分解されないため、LTPを含む食物を食べることで感作されます。
LTPはPRタンパク質(植物生体防御タンパク質)の一つ、PR-14であり植物がストレスにさらされた際に誘導されるタンパク質とも考えられています。

LTPは加熱してもアレルギー活性が低減しにくく、アナフィラキシー等の全身症状を伴うことが多く、重症化しやすい面があります。

花粉症を伴ってOASの症状が出るケースとは


花粉感作有無にかかわらず、口腔内を中心としたアレルギー症状をOASと呼び、花粉感作により発症する食物アレルギーをpollen-food allergy syndrome(PFAS)と分けて称する場合もあります。

花粉症を伴ってOASの症状が出るケースでのアレルゲンとしてはPR-10、プロフィリンがあります。
PR-10は、PR-14同様にPRタンパク質の1つでBet v 1関連タンパクになり、シラカバ花粉の抗原でもあります。
大豆に含まれるGly m4(グリエムフォー)もBet v 1関連タンパクになります。

プロフィリンはBet v 2関連タンパクで、消化酵素で分解されやすいため顕著な胃腸症状は出にくい面がありますが、口腔内に症状が見られます。
プロフィリンはシラカバ、イネ科、ヨモギの花粉など多くの食物に存在しており交差反応の原因物質になっている可能性があります。そのため複数花粉に感作している方にプロフィリンへのアレルギー反応がある可能性があります。

OASの原因となる食物は様々に存在しますが、PR-10 タンパク質、プロフィリン、LTPは代表的なアレルゲンとして、複数の食物に共通して含まれることがわかりつつあります。

OASの代表的な原因物質と含まれる食物


●PR-10 タンパク質を含む食物(一例)
シラカバ花粉(Bet v1)に感作する食物~りんご、さくらんぼ、桃、洋梨などや、キウイ、セロリ、にんじん、大豆、ピーナッツなど

●プロフィリンを含む食物(一例)
シラカバ花粉(Bet v2)、ヨモギ花粉(Art v4)に感作する食物~セロリ、スパイス、にんじん、ヘーゼルナッツなど

●LTP(PR-14)を含む食物(一例)
りんご、桃、アスパラガス、大豆、ピーナッツ、くるみ、クリ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、米、小麦、ごま、キウイ、トマトなど

OASは食物が口腔粘膜より直接侵入することによって口腔内で反応が起こるため、流動物の方がOAS症状を起こしやすいとも言われており、その面でも豆腐よりも豆乳、果実が症状を起こしやすいとの意見もあります。

OASの症状改善のために花粉の特異的免疫療法をおこなうことの有効性があるかどうかはまだ不明でもあります(有効でないとの意見もあります)。

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