市販のベーキングパウダーは、酸性剤とアルカリ性剤の中和反応によるガス生成を生かし、酸性剤とアルカリ性剤が保存中に反応しないようにする分散剤(遮断剤)としてコーンスターチ、または小麦でん粉も含有されます。
酸性剤としては以下があり、原材料欄でも確認できますが1種、あるいは2種以上が使用されています。
酸性剤
~無機酸
・第一リン酸カルシウム
・焼ミョウバン(アルミニウム)
~有機酸
・フマル酸
・グルコノデルタラクトン
・酸性ピロリン酸ナトリウム
・d-酒石酸水素カリウム(ケレモル)など
アルカリ性剤
・炭酸水素ナトリウム
・炭酸水素アンモニウム
市販のベーキングパウダーにおいては、炭酸水素ナトリウムと酸性剤の組み合わせが挙げられ、アルミニウムを使用していないものも多く、第一リン酸カルシウムを使用しているものなどがあり、商品によって使用される種類や含有比率が異なります。
ベーキングパウダーに水が加わり、加熱されることで反応が進行し炭酸ガス(二酸化炭素)を発生します。
炭酸水素ナトリウムは重曹の主成分でもあり、炭酸水素ナトリウム単体でも炭酸ガスは発生しますが、炭酸水素ナトリウムのみよりも酸性剤を加えることで、炭酸ガスの量が多くなります。
ベーキングパウダー使用のお菓子で味覚に違和感がある場合
ベーキングパウダーを使用して苦味を感じたり味覚に違和感がある場合には、以下等の原因が考えられます。
・添加するベーキングパウダーの量が多い
・保存中にベーキングパウダーの反応が始まっていた
・生地の焼成が足りず、中和反応が不完全な状態
・残存する物質への反応
違和感がある場合、以下対応も取れるようにすると良いでしょう。
・ベーキングパウダーの使用量を調整する。
一定量以上使用してもしっかり反応しきれないこともあり、また反応しても炭酸ガスが生地から抜けてしまうこともありますので、過量使用にならないようにします。
ベーキングパウダー入りミックス粉でベーキングパウダーの量を調整できない場合やベーキングパウダーを入れすぎてしまった場合は、レモン汁や酢を加え酸性剤になるものを増やすのも1つの策になります。ただ、炭酸ガスの発生が進みますので、すみやかに焼成できるようにします。
・ベーキングパウダー、ベーキングパウダー入りのミックス粉は開封し使用し始めた後は都度封をして、冷暗所に保管する。
少し反応が始まっていたベーキングパウダーにおいては、水が加わり、加熱をしても反応しきらない場合がある可能性があります。ベーキングパウダー缶、袋は冷蔵庫で保管すると、使用時との温度差で水滴が付着し、ベーキングパウダーの反応が始まってしまうことがあります。湿度は高くなく直射日光の当たらない15℃以下程度の場所で保管するようにします。
・焼成を十分にできるようにする。
焼成時間と温度を調整し、十分な加熱をおこなうことで、中和反応を促し、しっかり炭酸ガス発生ができるようにします。また、ベーキングパウダーが均一に生地に混ざるようにし、水分と混ぜてからは早めに焼成できるようにします。
・合った商品を選択できるようにする
炭酸水素ナトリウムに水と熱が加わると炭酸ナトリウムが生成されます。炭酸ナトリウムに苦味を感じることがありますが、他に焼成後に残存する物質に反応している可能性もあります。
上記対応も心がけたうえで、ベーキングパウダーを使用される場合は、各種ベーキングパウダーの含有物質を確認の上、違和感を感じないものを見つけられるのが望ましいでしょう。
炭酸水素ナトリウム+第一リン酸カルシウム⇒リン酸ニナトリウム+第ニリン酸カルシウム+水+炭酸ガス
炭酸水素ナトリウム+d-酒石酸⇒酒石酸ナトリウム+水+炭酸ガス
炭酸水素ナトリウム+グルコノデルタラクトン⇒グルコン酸ナトリウム+炭酸ガス
こめ粉ロールクッキー 40g
409kcal/100g
42730
いちみ
サンプルをいただきました…