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エビや卵白粉から検出されることがある動物用医薬品

2015.08.27

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特定の食用動物には、動物用医薬品が定められた範囲で使用することが許可されています。
日本では、使用可能な動物用医薬品と対象動物を以下に定めています。

動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令
https://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25F17001000044.html

動物用医薬品とは


動物用医薬品とは、牛、豚、鶏等の畜産動物や養殖魚に対して、病気の予防や治療等のために飼育段階で使用される抗菌性物質、ホルモン剤、駆虫剤等の総称になり、動物用医薬品には以下が該当します。
・抗生物質
・合成抗菌剤
・内寄生虫駆除剤
・ホルモン剤
・殺鼠剤

食品として提供される段階では、抗生物質又は抗菌性物質を含有してはならないことが定められていますが、平成18年5月29日よりポジティブリスト制度が導入され、残留基準が定められている場合は、その基準に基づき規制され、残留基準が定められていない場合は、ヒトの健康を損なうおそれのない一律基準の0.01 ppmに留まるよう、規制されるようになっています。
規制量は上記「動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令」に記載があります。

動物用医薬品が残留する部位
・筋肉(牛肉、豚肉、鶏肉、鹿肉、羊肉、海水魚、淡水魚)
・腎臓
・肝臓
・鶏卵
・生乳
・蜂蜜

しかしながら、以前より輸入冷凍養殖むきえびから基準値超のエンロフロキサシンが検出されており、その発覚頻度は少なくありません。
2011年3月7日からマレーシア産えびのエンロフロキサシンのモニタリング検査の割合が10%から30%に引き上げられ、2012年2月からは、ベトナム産養殖エビに対するエトキシキンのモニタリング検査の割合が30%に引き上げられた経緯もあります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/monitoring/2011/dl/120227-02.pdf
https://www.nihs.go.jp/library/eikenhoukoku/2009/084-092.pd
< 食品違反情報 >「養殖エビ」(ベトナム産)輸入違反の増加
https://www.shokukanken.com/news/safety/120126-0839.html

また、鶏卵に移行、残留するなどにより、鶏卵から検出されることもあります。

中国産の卵白粉からエンロフロキサシン及びその代謝物であるシプロフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシンが検出(2015年8月18日韓国)
https://www.mfds.go.kr/index.do?mid=675&pageNo=1&seq=28598&cmd=v

エンロフロキサシンとは


エンロフロキサシンは、エンロフロキサシンと、その代謝物であるシプロフロキサシンの和として食品への残留基準が設けられています。日本の基準値はEU比較で決して甘い数字ではなく、エンロフロキサシンは遺伝毒性および発がん性を示さないと考えられるため、ADIは0.002mg/kg体重/日と設定されていますが、この数値も世界基準と同等のものではあります。

エンロフロキサシンは、ヒトに薬として使用されることはありませんが、同系統に属するキノロン類、フルオロキノロン類の抗生物質、代謝物であるシプロフロキサシンは使用されています。
残留食品を摂取した場合の食中毒事例の報告は今までなされていませんが、人用医薬品として使用された場合の副作用としては、消化器系への影響、経口投与による悪心、嘔吐等で、下痢や抗生物質に起因する大腸炎はまれであるとされているようです。
ほかに頭痛、めまい、消炎薬との併用で痙攣、アレルギー反応に関連するものとして発疹がある可能性があります。 

輸入時の検査にて基準値超のエンロフロキサシンが検出された場合は、全量廃棄、積み戻しなどの対処が取られますが、基準値内での摂取蓄積により、1日の推定平均摂取量はそれなりの量になっています。

国民平均理論最大1日摂取量
乳7.1μg/人/日
豚肉1.8μg/人/日
牛肉1.0μg/人/日
鶏肉1.0μg/人/日

ADI値0.002mg/kg体重/日から、体重50㎏の方で0.1mg(100μg)が1日許容量に該当しますので、よほどの高濃度のものを大量に摂取しなければ、まず許容量内に収まるとはいえ、含有する食品摂取により耐性菌出現等の影響について等、まだ明確になっていない点もあります。

出典:https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/doyaku_11.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xib3-att/2r9852000002xinj.pdf
エトキシキンについて
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/279

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