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スパイスによる反応可能性 2019.12.20更新

2016.06.08

投稿者
クミタス

様々なスパイスが存在していますが、セリ科スパイスによるアレルギーなどスパイスによるアレルギーとみられる例があり、小児においてのカレースパイスによる食物依存性運動誘発アナフィラキシー、フェヌグリーク、ディルシードによる報告もあります。
スパイスによるアレルギーにおいては、花粉類との交差反応によるアレルギー症状出現のケースも挙げられます。

科でみる主なスパイス(一部ハーブを含む)
・アブラナ科:ワサビ、マスタード、ホースラディッシュ、ルッコラ
・キク科:カモミール、タラゴン、よもぎ
・セリ科:フェンネル、コリアンダー、チャービル、ディル、ディルシード、セロリ、キャラウェイ、クミン、パセリ、アニス、アジョアン、みつば
・シソ科:バジル、ミント(ハッカ含む)、セージ、マジョラム、レモンバーム、ローズマリー、ラベンダー、タイム、オレガノ、サボリー
・ナス科:パプリカ、シシトウ、トウガラシ、ハバネロ、ハラペーニョ
・ショウガ科:ショウガ、ミョウガ、ウコン、ターメリック、カルダモン、ガランガル
・コショウ科:こしょう、ロングペッパー
・ニクズク科:ナツメグ、メース
・クスノキ科:ローレル、シナモン
・モクレン科:スターアニス
・ミカン科:山椒、花椒、陳皮、ゆず、カフェライム、カレーリーフ
・フトモモ科:クローブ、オールスパイス
・ユリ科:ニンニク、タマネギ、エシャロット、ネギ、アサツキ、ワケギ、タマネギ、ニラ、ラッキョウ、チャイブ
・イネ科:レモングラス
・マメ亜科:フェヌグリーク、甘草
・アヤメ科:サフラン
・ラン科:バニラ

参照:あの野菜の科は?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/909

スパイスの中には、アフラトキシンやサルモネラ、大腸菌、ボツリヌス菌などの真菌や細菌に汚染している場合があり、FDA(アメリカ食品医薬品局)による20,000隻以上の輸入船を対象にした2007年~2009年の調査では、全体として6.6%のスパイスにサルモネラ菌が混入している可能性があり、コリアンダーの15%、オレガノ、バジルの12%、ゴマの11%、フェンネル、フェネグリーク、マスタードの2.7%に該当していたとの報告があります。
EU、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、中国などでは、カビや細菌など世界約50か国で微生物数を減らす目的で放射線照射されたスパイスが販売されており、世界の流通量の約9割が放射線照射スパイスとも言われています。
日本では放射線照射されたスパイスは原則として輸入が禁止されていますが、輸入香辛料の検査をおこなうと、アフラトキシン、オクラトキシンが検出されることがあります。
過去には、スパイスにアルカロイド系自然毒であるピロリジジンアルカロイドを含む植物が混ざる可能性がある事例があり、カナダでは2012年2月にピロリジジンアルカロイドを含むセネシオ(ノボロギク)が混入している恐れがあるフェヌグリークの回収がおこなわれています。
ほかにも、粉末ターメリックなどスパイスから昆虫の一部や幼虫が確認されることがあり、また着色料が添加され、違法色素が使用され回収となった事例、日本では規制されている保存料、漂白剤などが使用されていることもあります。

スパイスにピーナッツなどが混入する可能性や、別の種スパイスが混入したことで、偽陽性であったアーモンドが混入したと当初思われた事例もあります。スパイスの製造、管理状況によりますが、含有量によっては影響懸念がある可能性もあり、またスパイスそのものにアレルギー反応を示す場合があることもご留意ください。

スパイスによるアレルギー~セリ科植物
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3287

イソチオシアネートによる反応~大根、辛子、わさび、マスタードの辛味物質など
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2837

補足:ピロリジジンアルカロイドとは
ハーブやスパイスとして使用されることのあるものの中には、ピロリジジンアルカロイドを含むものがあります。肝毒性があり、静脈閉塞性疾患を引き起こし、発がん性の懸念もあると言われており、以下などにピロリジジンアルカロイドが含有されていることが確認されています。
ムラサキ科(コンフリー、シャゼンムラサキなど)、キク科(フキ、バターバー、サワギク、ノボロギク、フキタンポポなど)、ラン科の一部、キョウチクトウ科の一部、アカテツ科の一部、ヒルガオ科の一部、イネ科(ドクムギ属、ウシノケグサ属)、メランチウム科の一部、ヒルギ科の一部、マメ科(タヌキマメ属)、キンポウゲ科(リュウキンカ属)、ビャクダン科(ムスカリ属)、ニシキギ科の一部、ゴマノハグサ属(カスティレヤ属)
「バターバー、フキタンポポを伝統的レシピに従って調理したものを喫食した女性が重篤な肝不全を呈した、パキスタン、インド、アフガニスタンの人々がニオイムラサキ属、タヌキマメ属の種子が混入した小麦の摂取により中毒となった、ジャマイカではタヌキマメ属及びサワギクを含む茶(bush tea(ブッシュティー))で中毒が発生」しているとの記述(出典:食品安全情報 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)もあり、ドイツではサワギク、ノボロギクがサラダに混入する事例が、またピロリジジンアルカロイドを含む植物の蜜を含むはちみつにもピロリジジンアルカロイドが含有されているものも見られています。オーストラリア、ニュージーランド産の蜂蜜に比較的高値で含まれるものもあるとの報告もありますが、蜂蜜に関しては特に大量摂取でなければ、高含有食物を食材として調理する場合やハーブティーやサラダへの混入に比べ健康被害可能性は低いとみられています。蜂蜜においてブレンドし希釈をするなど出荷時対応はなされているようですが、今後食品内の残留基準なども設けられる可能性はあるかもしれません。
尚、ピロリジジンアルカロイド含有の国産フキが確認されていますが、植物の種類によっても含有量差があり、また植物の部位、採取時期、品種による濃度差、またあく抜きなど下処理をおこなうことでも減衰するためか、いままでのところ健康被害報告の顕在例は確認されていません。

出典:フェヌグリーク,ディルシードによるスパイスアレルギーの1例
Spices and herbs: Ingredients which may pose a health risk(BfR Press release)
野菜や山菜に含まれるピロリジジンアルカロイド類のリスク管理の必要性に関する考察

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