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そばによる食物蛋白誘発胃腸炎

2022.11.23

投稿者
クミタス

主に消化器症状を呈する消化管アレルギーには、food protein-induced enterocolitis syndrome (FPIES):食物蛋白誘発胃腸炎、food protein-induced allergic proctocolitis (FPIAP):食物蛋白誘発直腸大腸炎、food protein-induced enteropathy (FPE):食物蛋白誘発胃腸症が含まれます。
食物蛋白誘発胃腸炎 (FPIES)においては、食物抗原摂取後に嘔吐、下痢、下血などを生じ、乳児期早期までは牛乳が、離乳食開始後は卵や小麦、大豆など牛乳以外の食物が原因となることがあります。
食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)については、今までにも以下について掲載しておりますが、
卵黄の消化管アレルギーと特異的IgE値
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4074
小麦による食物蛋白誘発胃腸炎
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3362
カシューナッツによる食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1369
ホタテによる食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4286
バナナによる食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4043
そばによる食物蛋白誘発胃腸炎のケースを掲載します。

1歳4か月時、初めてソバ約80gを摂取した数時間後に2回嘔吐した。1歳8か月時、ソバ約60gを摂取した2時間後から嘔吐が10回以上続き、救急外来を受診。受診時、顔色不良、活気低下があり、輸液を要した。血液検査でソバ特異的 IgE 抗体 価<0.10UA/mLであり、十割ソバの皮膚プリックテストは陰性であった.。ソバ摂取後に嘔吐するエピソードを繰り返しており、ソバによる 食物蛋白誘発胃腸炎を疑われた。1歳11か月時に、十割ソバの食物経口負荷試験を行い、ソバ45gの摂取2時間後より活気不良あり、嘔吐を6回認め、負荷試験陽性と判断された。また、負荷試験前後で血清 TARC(thymus and activation-regulated chemokine)値の上昇(385pg/ml→5,785pg/ml)が認められ、ソバによる食物蛋白誘発胃腸炎と診断された(出典・参照:濵野祥子 濵野翔 柳下康博 木村俊彦 森久保美保 川原亜友美 那須ゆかり 増古康子 川口明日香 成田雅美 杏林大学医学部付属病院小児科 ソバによる Food protein-induced enterocolitis syndrome(FPIES)の一例)。

国際ガイドラインにおいて、食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)は、
特異的IgE抗体が陽性のタイプと陰性のタイプ、
原因食物摂取後1〜4時間内に嘔吐、24時間内に下痢、原因食物除去後24時間内に改善するタイプと、連日摂取で発症するタイプ、
発症が9か月未満か9か月以降か、
また重症度での分類が考えられています。
固形食物においては卵黄による食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)の報告例が増えていますが、今後も各原因食物での例を掲載していきたいと思います。

出典・参考:アレルギー総合ガイドライン2022

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