花粉と関連のあるアレルギー症状については、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)、原因が花粉以外も含まれる「口腔内を主としたアレルギー症状」はOASとされますが、各花粉に特異的IgE抗体反応陽性の方において、症状出現経験のある方は、以下割合であったとの報告があります(出典:兵庫県東播磨地域小学・中学・高等学校でのアレルギーアンケート結果 2005)。
クラス2以上の場合
・ヨモギ花粉に特異的IgE陽性の方のうち11.8%
・ブタクサ花粉に特異的IgE陽性の方のうち3.8%
・カモガヤ花粉に特異的IgE陽性の方のうち2.6%
クラス3以上の場合
・ヨモギ花粉に特異的IgE陽性(クラス2以上)の方のうち17.6%
・ブタクサ花粉に特異的IgE陽性の方のうち6.9%
・カモガヤ花粉に特異的IgE陽性の方のうち2.9%
とあり、花粉への特異的IgE抗体価が高くなるほど症状出現可能性が高くなる可能性を示唆しているとも言えます。
OASの原因食物
OASの原因食物としては以下が挙げられています(出典:特殊型食物アレルギーの診療の手引き 2015)。
成人135例、小児43例、不明1例における原因食品の内訳
・りんご(バラ科) 13.2%
・もも(バラ科) 11.2%
・キウイ(マタタビ科) 10.2%
・メロン(ウリ科) 7.0%
・大豆(マメ科) 5.2%
・サクランボ(バラ科) 3.7%
・バナナ(バショウ科) 3.7%
・トマト(ナス科) 3.5%
・いちご(バラ科) 3.2%
・スイカ(ウリ科) 3.2%
・びわ(バラ科) 2.7%
・アボカド(クスノキ科) 2.2%
・梨(バラ科) 2.0%
・柑橘系(ミカン科) 2.0%
・ピーナッツ(マメ科) 1.7%
・パイナップル(イネ目パイナップル科) 1.7%
・きゅうり(ウリ科) 1.7%
・アーモンド(バラ科) 1.2%
・梅(バラ科) 1.0%
・ぶどう(ブドウ科) 1.0%
・にんじん(セリ科) 1.0%
・いちじく(バラ目クワ科) 1.0%
・えび、かに 1.0%
・いか、たこ 1.0%
・くるみ(クルミ科) 1.0%
科別ではやはりバラ科が多く37.9%、ウリ科12%(メロン、スイカ、きゅうり)、マタタビ科10.2%(キウイ)、マメ科7.0%(大豆、ピーナッツ)になります(果物の科、野菜の科については、こちら
同じ科の果実は? https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/916
あの野菜の科は? https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/909
にも掲載しています。)
OASの原因食物としては、果物、野菜以外に、大豆、ピーナッツといった豆類、アーモンド、くるみなどのツリーナッツ、甲殻類であるえび・かに、軟体動物のいか・たこも挙げられます。
花粉と交差反応する抗原を含む食物における重症例
アレルギー症状が口腔に限局されている場合においては、アレルゲンがその食物内のタンパク質のうちプロフィリン、植物生体防御タンパク質PR-10である可能性があり、消化や原因食物を加熱することでアレルギー症状が出ない場合がありますが、アレルゲンがその食物内のタンパク質のうち脂質輸送タンパク質(LTP)、貯蔵タンパク質である場合、加熱や消化で抗原性が低下せず、全身症状、重篤な症状をおこす場合があります。
アレルゲンタンパク質は個人によって異なり、症状程度も個人差があり、体調など状態や条件によっても異なりますが、傾向として、179の口腔咽頭症状を呈した症例のうち、ショックを呈した16症例の原因食物として、リンゴ、モモ、キウイ、大豆、サクランボ、バナナ、トマト、いちご、びわ、アボカド、梨、ピーナッツ、アーモンド、にんじん、くるみ、ナス、ミカン、マカダミアナッツ、フキ、ホウレンソウ、グレープフルーツとの報告があります。
出典:特殊型食物アレルギーの診療の手引き 2015
症状の強くなる時期
花粉ー食物アレルギー症候群(PFAS)においては、IgE陽性となっている花粉の飛散時期、飛散終了直後に、交差反応性のある食物へのアレルギー症状が強くなる場合、発症する場合があるとの報告があります。
花粉を多く吸収しないことが、PFAS症状出現程度を抑える予防策ともなり得る可能性がありますので、IgE陽性となっている花粉飛散時期、終了直後には花粉対策をされるのが良いでしょう。
出典・参考:
・Temesvari E, Becker K. Contact urticaria from watermelon in a patient with pollen allergy. Contact Dermatitis 1993; 28: 185-6.
・川本 仁、山肩満徳、中島英勝、神辺真之、倉岡敏彦.スギ花粉飛散期に呼吸困難で発症したト マトジュースによる口腔アレルギー症候群の 1 例.日呼吸会誌 2003; 41: 397-401.
・藤原初雄、桝田 緑、久保伸夫、大河内宏幸、下敷領健二、岡本 久、原 克子、小川 昇、高橋 伯夫.スギ花粉症における血液中抗スギ花粉 IgE 抗体、総 IgE、好酸球数、好塩基球数、NO の 年間変動.Jpn J Clin Pathol 1997; 45: 487-92.
・Skamstrup Hansen K, Vieths S, Vestergaad H, Skov PS, Bindslev-Jensen C, Poulsen LK. Seasonal variation in food allergy to apple. J Chromatogr B Biomed Sci Appl 2001; 756: 19-32.
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