ヒラメ筋内膿瘍は、下腿深部のヒラメ筋内に細菌が侵入し、筋組織内で膿が形成される重症感染症です。猫咬傷では Pasteurella multocida が典型的で、皮下感染から筋層へ波及すると腫脹・疼痛・発赤が増悪し、抗菌薬のみでは改善しにくい特徴があります。筋内膿瘍は血流が乏しく薬剤到達性が低いため、切開排膿やデブリードマンなどの外科的治療が必須となります。猫咬傷は軽症に見えても深部感染へ進行することがあり、早期の適切な抗菌薬投与と外科的介入が重症化予防に重要との示唆があります。
58歳女性。初診1カ月半前に飼い猫に左足関節部を咬まれ腫脹・疼痛を自覚するも放置していた。数種類の抗菌薬を内服するも改善せず,初診5日前より左下腿の発赤部に膿を伴い,切開排膿,フロモキセフナトリウム点滴投与をされるも腫脹・疼痛が持続していた。初診時,同部の発赤腫脹は一部自壊を認めた。創部培養からPasteurella multocidaが検出された。下腿単純MRIでヒラメ筋内に膿瘍形成を認め,整形外科にてデブリードマンを施行し,局所陰圧療法を行った。その後は再発なく経過している。ネコ咬傷による感染症では,外科的処置も含め適切な抗菌薬投与などの早期治療介入を行い,重症化を防ぐ必要がある(出典・参照:玉森巴里, 白井京美, 飼沼実優, 増澤真実子, 岩瀬大, 天羽康之 北里大学病院 ネコ咬傷によりヒラメ筋内膿瘍をきたしたパスツレラ感染症の1例)。
猫咬傷の感染は、進行が速く、深部まで到達しやすいという特徴があります。猫の口腔内に Pasteurella multocida をはじめとする細菌が存在した状態で、歯で深く刺入し皮下〜筋層まで細菌が一気に入り込んだ結果、数時間〜1日で強い疼痛・腫脹・発赤が出現し、蜂窩織炎、腱鞘炎、関節炎、筋内膿瘍へ進行することがありますので、ご留意ください。
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