現在の経口免疫療法においては、ごく少量から治療を始め、段階的に摂取量を増やしていく増量期を経たのち、一定量を毎日続ける維持期を設ける方法が用いられています。今回はピスタチオの経口免疫療法の経過についての報告例を掲載します。
2024年4月以降に当院で以下のピスタチオ経口免疫療法プロトコルを開始した児を対象とした。開始前にピスタチオ 0.1g経口負荷試験を行った。症状誘発閾値が0.1g以下の場合、0.05gの舌下投与から開始し、途中で経口摂取に移行した。1gまで段階的に増量し(増量期)、1gを6か月連日摂取(維持期)後、2週間完全除去し、3gの短期的持続的無反応を評価した。患者背景、有害事象を評価した。
解析対象は3人、年齢は4,10,11 歳であった。全員にピスタチオ即時型アレルギー歴があった。ピスタチオ皮膚プリックテストは全員陽性。2人にカシューナッツの即時型アレルギー歴があった。非特異的IgEは881,299,1041IU/mL,カシューナッツ特異的IgE(sIgE)は36.4,3.19,1.94 UA/mL,Anao3sIgEは33.3,3.05,1.81UA/mL であった。治療開始量は、1人が0.05g舌下投与、2人が0.1g経口摂取であった。解析時、維持期が2人、増量期が1人であった。1人が増量期にGrade 1 の皮膚粘膜症状を13回、Grade1の呼吸器症状を1回認め、他の2人は有害事象を認めなかった。【結論】当院のピスタチオ経口免疫療法プロトコルは比較的安全に1g脱感作を達成する可能性がある(出典・参照:大川恵 今井孝成 高橋碧 関沙和 山下恒聖 高木俊敬 本多愛子 國上千紘 岡田祐樹 前田麻由 神谷太郎 昭和医科大学医学部小児科学講座 当院におけるピスタチオ経口免疫療法の経過)。
上記の3人においては、解析時点で2人が維持期、1人が増量期にあり、うち1人が増量期にGrade 1の軽度な皮膚粘膜症状・呼吸器症状を認めたものの、重篤な症状は報告されていません。この結果は、少量から慎重に開始し段階的に増量するプロトコルが、少なくともこの3例では重篤な有害事象なく進められたことを示しています。
1gを6か月間毎日摂取する維持期を終えたあとに、2週間しっかり除去期間を設け、その状態で3gの負荷試験を行ってSustained Unresponsiveness(持続的無反応)を確認するという流れは、 ただ慣らすだけでなく、食べていない期間を挟んでも症状が出ないかどうかを確かめるための、現在よく用いられている方法といえます。
上記の3人においては、ピスタチオへの即時型アレルギー歴、皮膚プリックテスト陽性に加え、非特異的IgEが高値(299〜1041 IU/mL)であり、うち2人はカシューナッツの即時型アレルギー歴も有するなど、アレルギーリスクが比較的高いと考えられる中で重篤な有害事象なく1g脱感作(またはその過程)が進められたことは、限られた症例数ながら、当該プロトコルの安全性を示唆しています。
また今後もナッツ類の経口免疫療法について、掲載したいと思います。
ピスタチオによるアレルギー
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