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キノコの毒性と加熱調理や乾燥

2026.09.13

投稿者
クミタス

毒キノコにおいては、加熱調理や乾燥により別の毒性物質を生成したり、既存の毒性を増強したりする場合があります。加熱調理でむしろ有毒化・気化する例、乾燥すると毒性が強くなる例について掲載します。

加熱調理により強い毒性を持つ化学物質を生成
シャグマアミガサタケは、脳のようなしわを持つ独特な見た目のキノコで、北欧などでは毒抜きをした上で食用にされることもあります。このキノコに含まれる毒成分はジロミトリンと呼ばれる化合物で、生のまま食べれば吐き気や下痢、痙攣などの症状を引き起こします。そこで毒抜きのために煮沸するという処理が行われると、加熱によりジロミトリンが加水分解を起こし、モノメチルヒドラジンという別の強い毒性を持つ化学物質が生成されます。
モノメチルヒドラジンは揮発性が非常に高い物質であり、沸点も低いため、煮沸している鍋から立ち上る湯気に紛れ込んで空気中へと拡散します。調理中に発生する蒸気を吸い込むだけで中毒症状を起こす可能性があり、頭痛やめまい、重篤な場合には痙攣や意識障害、肝機能障害にまで至る場合があります。換気の悪い屋内の台所で長時間煮込むような調理法はリスクが高くなり、毒抜きのための加熱処理が、吸入によって新たな中毒リスクを生み出してしまうことになります。また、モノメチルヒドラジンは生成されて即座に全て気化するわけではなく、水溶性でもあるため一部は煮汁に残り、一部が揮発するという二重の経路があります。
尚、煮沸(2回)を行っても、ジロミトリンにおいて毒素含有量の約20%が残留するとも見られており、煮沸処理をしても完全に無毒化されるわけではなく、残留毒性による経口中毒のリスクも並行して存在し、完全な無毒化はできないところです。

乾燥で毒性が強まる
テングタケ属のキノコに含まれるイボテン酸は乾燥や加熱の過程を経ると、脱炭酸反応と呼ばれる化学変化によってムシモールという別の物質へと変換されていきます。
ムシモールは、脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体に強く結合し、イボテン酸よりもはるかに強力な中枢神経作用を発揮します。そのため、生の状態で摂取した場合に比べて、乾燥させたキノコを摂取した方が、眠気や酩酊感、幻覚、めまい、時には痙攣といった症状がより強く現れることがあります。天日干しにすることで自然と毒が抜けていくのではないかと考えられがちですが、実態はむしろ逆で、乾燥という保存処理そのものが毒性を高める方向に作用してしまいます。

生の胞子・菌体成分への曝露によるシイタケなどキノコ栽培従事者における職業性接触皮膚炎のケースなども含め、キノコと症状出現について追記していきたいと思います。

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