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2016.05.10
アレルギー性鼻炎はIgE抗体反応にて、発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉が主な症状となりますが、同じような症状でアレルギー性でないと見られている鼻炎もあります。
非アレルギー性の鼻症状は鼻粘膜の局所自律神経(無意識に作用する神経)が過敏に反応して症状が生ずると考えられており、誘引物質としては以下等の刺激物質が考えられています。
・寒暖差
・たばこや線香、お香などの煙
・匂い
アレルギー性の症状ではないことから、眼の痒みはないとされていますが(眼の痒みが顕著でないアレルギーの場合もありますが)、アレルギー性鼻炎の合併例もあるとの意見があり、また諸論ありますが、非アレルギー性鼻炎において、全身性のIgE抗体反応は見られないものの、鼻粘膜組織のみでIgE 抗体反応が起こっているケースもあるとの意見もあります。
参考:見過ごせないアレルギー性鼻炎周辺疾患
血管運動性鼻炎の病態
アレルギー性鼻炎は、低年齢においても顕在化しており、
「1歳6ヵ月検診(408名)を利用した疫学調査では、感染性の鼻炎等ではないアレルギー性鼻炎において、ダニ、ネコ、スギいずれかの抗原特異的IgE陽性者は,計10.7%、鼻汁中の好酸球陽性者は,7.1%、ダニ、ネコ、スギのいずれかに特異的IgE陽性で、かつ鼻汁中の好酸球陽性者は2%」(出典:小児アレルギー性鼻炎の疫学,診断,治療について)
「1歳児269名中,ダニ特異的IgE陽性児は18名(6.7%)、ダニ特異的IgE陽性からアレルギー性鼻炎と診断した児は5名(1.9%)であった.スギ感作は1名のみで明確な花粉症の症状はなかった.ネコ感作は10名(3.7%)で,その中でアレルギー性鼻炎と診断された児は1名であった」 出典:コホート研究における1歳でのアレルギー性鼻炎についての解析)
など、アレルギー性鼻炎の主要原因物質に感作している1歳児、1歳6か月児は10%超となっている可能性はあります。
花粉症患者さんのおよそ半数以上はハウスダストにも敏感との調査結果もあります(出典:小児アレルギー性鼻炎の成人への移行を阻止するための治療法の確立に関する研究 平成16~18年度厚生労働科学研究費報告書2007)が、アレルギー性鼻炎である場合、細菌感染していなくても副鼻腔部が腫れている場合やレントゲン上で副鼻腔炎のように映ることがあると言われています。
またアレルギー性鼻炎の症状があることで、腫れのある部位から、細菌感染が原因で起こる副鼻腔炎を併発することがあります。
アレルギー性鼻炎患者さんの、20~30%程度に喘息を合併、喘息患者さんの40%以上(60~80%など)の方でアレルギー性鼻炎を合併しているとの意見があります。
鼻腔~上気道~下気道はつながっており、鼻炎と喘息を合併している方が鼻粘膜でアレルゲンに曝露すると、アレルゲンに直接曝露されていない下気道においても、好酸球湿潤や気道過敏が見られるとも言われています。また喘息の方はアレルギー性鼻炎がなくても、好酸球が鼻腔内に湿潤していることがあります。
アレルギー性鼻炎と喘息は、悪化する場合は両方が悪化し、どちらかを治療するとどちらかも軽快することが多く、アレルギー性鼻炎の免疫療法をおこなうことで、喘息発症を予防する可能性はあります。また成人の喘息においては、副鼻腔炎との合併例が多いとも見られています。
アレルギー性鼻炎の主要アレルゲンであるダニは花粉よりも粒子が小さいため下気道まで到達しやすい一方、花粉は下気道まで到達しないことが多く、花粉が直接の喘息の要因とならないことも多いのですが、花粉は鼻炎症状の悪化要因になるため、花粉飛散の時期や直後に花粉症対策をすることは喘息症状を軽くすることがあります。
出典・参考:アレルギー性鼻炎と喘息
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