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コンタクトレンズ着用と眼のアレルギー

2016.07.13

投稿者
クミタス


眼のアレルギーといった場合、季節性アレルギー性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎、春季カタル、巨大乳頭性結膜炎、アトピー性角結膜炎が挙げられます。季節性アレルギー性結膜炎は花粉が主な原因に、通年性アレルギー性結膜炎は、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、カビなどが主な原因となります。
春季カタルは、眼のかゆみや痛み、充血、まぶたの腫れ、まぶしさ、異物感、目やにや浸出液が流れ出るのを感じるといった症状で、まぶたの裏の結膜や角膜の周囲の結膜の腫れや病変ができる、アレルギー性結膜疾患の重症例で、季節性アレルギー性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎と同じ原因物質が主な発症要因とも考えられ、春季カタル様病変のある患者さんにおいては、アトピー性皮膚炎の患者さんであることが多いとの意見があります。
炎症性の増殖病変ができる点、角膜障害、視力障害がおこり得る点は、アトピー性角結膜炎とも共通します。

そして、コンタクトレンズ装着が要因となりやすいのは、巨大乳頭性結膜炎で、タンパク質汚れ、花粉、真菌、ケア用品成分などの物質がコンタクトレンズ着用によってたまり、1型アレルギー反応、好中球が浸潤することでの非特異反応が起こり、上まぶたの裏側にぶつぶつができ、眼の痛みやかゆみ、まぶたの腫れ、異物感、多くの目やにいった症状が出現します。コンタクトレンズを装着していて上まぶたの裏側にぶつぶつができていたり、コンタクトレンズが頻繁に上方にずれるといった場合は発症している可能性があります。


カラーコンタクトレンズを着用しているうちに、カラーコンタクトレンズの色素が溶け出す例は以前から取り上げられており、2015年8月には市販の17製品中10製品で色素溶出が見られたと厚生労働省研究班が調査結果をまとめています。

そして溶出した色素成分にアレルギー反応を示したと思われるケースでは、カラーコンタクトレンズを装着したまま就寝しており、角膜に多数の潰瘍と毛様充血あり、抗菌薬点眼では症状改善せず、ステロイド点眼と内服で症状改善、視力改善した報告もあります。

カラーコンタクトレンズから溶出した色素からは、今までに以下等が検出されています。
・酸化チタン
・酸化鉄
・アルミニウム
・塩素を含む色素(Reactive Blue4等)
・イミノ基等を有する色素(Pigment Yellow139等)
・スルホン基を有する色素(赤色201号、青色205号等)

色素成分が内包されておらず、コンタクトレンズの表面付近に存在、あるいは色素成分がコンタクトレンズの表面に印刷され露出している製品では、過去試験で綿棒で表面をこするとカラーが取れるものが多くあったとの報告があります。
カラーコンタクトレンズは、カラーの分、厚さができ、カラーコンタクトレンズの凸凹した部分に黄色ブドウ球菌、緑膿菌がたまりやすくなります。
そしてその印刷が角膜側に成されている場合、カラー部分が角膜をこすり傷つけやすくなり、結膜下出血をおこしたりするリスク、
傷の部分に細菌感染をおこすことでの角膜潰瘍のリスク、
溶出した色素へのアレルギー反応、色素が角膜に付着して角結膜障害を起こすリスク、などが高まると言われています。

カラーコンタクトレンズの品質は様々ですが、酸化透過性が低いものは長時間着用に向いていない面があり、また、既にアレルギー性の病変がある場合は、コンタクトレンズ着用にてさらに悪化する場合があります。

アレルギー性眼疾患においては成人における重症例は小児よりも低くなりますが、コンタクトレンズの適した選択と使用により、可能な予防がおこなえるのが望ましいでしょう。


出展・参考:
カラーコンタクトレンズの規格適合性に関する調査研究  平成 26 年度厚生労働科学研究費補助金 特別研究事業
カラーコンタクトレンズ(カラーCL)による 眼障害の実態 ~調査結果のご報告~ 日本コンタクトレンズ学会 カラーCL障害調査小委員会
カラーコンタクトレンズの色素に対するアレルギー反応が疑われた両眼角膜潰瘍の1例
おしゃれ用カラーコンタクトレンズの安全性(概要) -視力補正を目的としないものを対象に-  独立行政法人 国民生活センター

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