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卵アレルギー発症リスクを低減し得る可能性について

2017.02.16

投稿者
クミタス

アレルゲンとなる方が比較的多い食物においても、摂取開始を遅らせることが、その食物のアレルギー発症を抑制することにつながる、ということに根拠はなく、むしろピーナッツにおいては既に湿疹のある乳児等において遅らせることなく導入開始し継続していくことが望ましいとの見解は今までにも示されていますが、

ピーナッツアレルギーにおける新たな補足ガイドライン~NIAID
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1858

卵においてはどうなのかについて、日本での研究報告があります(2016年12月に発表されています)。

Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
https://saigaiin.sakura.ne.jp/sblo_files/saigaiin/image/Two-step20egg20introduction20for20prevention20of20egg20allergy20in20high-risk20infants.pdf

食物アレルギーを高頻度に発症する可能性があると考えられているアトピー性皮膚炎を発症した生後4~5か月の乳児を対象に、
①生後6か月から加熱全卵粉末50mg(ゆで全卵0.2g相当)、生後9か月から加熱全卵粉末250mg(ゆで全卵1.1g相当)に増量して摂取する群60人
②生後6か月からかぼちゃ粉末を摂取する群(プラセボ群) 61人

のそれぞれにおいて経皮感作リスクを高めないようにするためにも、アトピー性皮膚炎の治療を積極的におこないながら、①加熱全卵粉末摂取群では平均で163.5±17.9日、②プラセボ群では167.6±16.5日摂取を継続し、生後12か月時に、卵にアレルギー症状を示すか、加熱全卵粉末7g(ゆで全卵32g相当)の経口負荷試験で評価したところ、
卵アレルギーを認めたのは、①加熱全卵摂取群では5人(8%)、②プラセボ群では23人(38%)と、①加熱全卵摂取群での卵アレルギーの発症率は、プラセボ群と比べて低く、
生後12か月時の①加熱全卵摂取群でのオボムコイド特異的IgE抗体価は②プラセボ群より低値であった、
入院率は①加熱全卵摂取群では10%、②プラセボ群では0%、急性のアレルギー反応は①加熱全卵摂取群では14例、②プラセボ群では11例、生後6か月時の外来で初めて加熱全卵粉末を摂取した際、9か月時に増量した際の急性のアレルギー反応は認められなかった、
との結果を示しています。

食物アレルギー発症リスクが高いと考えられるアトピー性皮膚炎を既に発症した児においても、卵の摂取を遅らせることなく6か月~といった時期から、アトピー性皮膚炎の治療を積極的におこないながら、しっかり加熱したゆで全卵の摂取を継続することで、卵アレルギーの発症を低減させるかもしれないことが伺えます。

他の食物等についても今後新たにわかることがあり次第、またお送りしたいと思います。


出典・参考:Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
https://saigaiin.sakura.ne.jp/sblo_files/saigaiin/image/Two-step20egg20introduction20for20prevention20of20egg20allergy20in20high-risk20infants.pdf

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