ピーナッツアレルギーにおける新たな補足ガイドライン～NIAID
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1858
にも記載しておりますが、ピーナッツの早期（4～6か月）からの継続摂取により、5歳までのピーナッツアレルギーの発症リスク低減につながるとの考え方は、Addendum Guidelines for the Prevention of Peanut Allergy in the United States などでも示されています。

ピーナッツの導入の前に他の固形食品の摂取を始めており
・それまでに湿疹、食物アレルギーのない児については適切に離乳食を進める中でピーナッツを導入し継続摂取する
・軽度・中程度の湿疹のある児については、生後6か月ごろからピーナッツを導入し継続摂取する
・重度の湿疹、卵アレルギーのどちらかあるいは両方のある児は、ピーナッツ特異的IgE検査、プリックテスト（SPT）のいずれか1つ以上を実施し、適している場合は、生後4～6か月の間にピーナッツを導入し継続摂取する。できるだけ早くから摂取開始できることが望ましいが、6か月以降からでも開始できるようにする

日本でも、落花生、そば、ナッツの導入を遅らせる方は少なくありませんが、導入時期を遅らせることの有用性について明らかになっているわけではなく、アトピー性皮膚炎を発症している生後4～5か月の乳児における鶏卵摂取においても、皮膚の治療を積極的におこないながら早期（6か月）から継続摂取することにより発症低減となる可能性も報告されています。

食品パッケージへの表示

FDAでは、ピーナッツを使用しているベビーフードのパッケージにおいて、早期導入による発症リスク低減に関する文言表示を承認することを2017年9月7日に公表しています。

「既に固形食品を導入している重度の湿疹、卵アレルギーのどちらかあるいは両方のある児の多くでは、4〜10か月齢の間に粉砕したピーナッツを含む食品を導入し摂取を継続することで、5歳までにピーナッツアレルギーの発症リスクが低減する可能性があります。しかし、この示唆を支持するエビデンスは1つの研究に限定されているとFDAは判断しています。」

「あなたのお子さんが重度の湿疹、卵アレルギーのどちらかあるいは両方のある児である場合は、粉砕ピーナッツを含む食品を与える前に専門医に確認してください。」

上記は限定的健康強調表示（qualified health claim）であり、より厳密な科学的合意基準を満たす必要のある、認可された健康強調表示（authorized health claims）に比べ限定的で、科学的根拠の程度別に「・・・を示唆する科学的根拠はあるが、FDAは、この根拠が限定的であり決定的ではないと判断した。」などの条件文が使用されます。

（現段階では）裏付けるエビデンスは限られていますが、ピーナッツの早期からの導入、継続摂取によりピーナッツアレルギーの発症リスクが低減する可能性がある、ことを、ピーナッツを使用する食品に表示しても良い、という主旨になり、既にアメリカではこの限定的健康強調表示をパッケージに表示した第1号商品（継続摂取用に小分けされたピーナッツキット）も登場しています。
乳幼児においてピーナッツを粒のまま摂取することは窒息リスクがあるため、摂取する際は粉砕ピーナッツから進めていきましょう。


FDA Acknowledges Qualified Health Claim Linking Early Peanut Introduction and Reduced Risk of Developing Peanut Allergy
https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm575001.htm

Addendum Guidelines for the Prevention of Peanut Allergy in the United States
https://www.niaid.nih.gov/sites/default/files/addendum-peanut-allergy-prevention-guidelines.pdf#page=page9

卵アレルギー発症リスクを低減し得る可能性について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1926
ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメント
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/889