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保育士さんから見た食物アレルギーへの対応状況(一例)

2017.11.02

投稿者
クミタス

最近増えていると実感するからだのおかしさ(不調)


保育園の保育士、幼稚園の教諭、小学校、中学校、高等学校の養護教諭、小学校、中学校の教諭(担任教諭,専科教諭など)の回答による、最近増えていると実感するからだのおかしさ(不調)を挙げる調査においては、1990年以降での回答において、「アレルギー」を最も多く挙げる結果が見られるようになっています。
上位1位、2位、3位の順(2010年、2015年は5位まで)

保育所
1990年 アレルギー、皮膚がカサカサ、背中ぐにゃ
1995年 アレルギー、皮膚がカサカサ、すぐ疲れたと言う
2000年 すぐ疲れたと言う、アレルギー、皮膚がカサカサ
2005年 皮膚がカサカサ、アレルギー、背中ぐにゃ
2010年 皮膚がカサカサ、すぐ疲れたと言う、保育中じっとしていない、背中ぐにゃ、アレルギー
2015年 アレルギー、背中ぐにゃ、皮膚がカサカサ、保育中じっとしていない、すぐ疲れたと言う

幼稚園
1990年 アレルギー、皮膚がカサカサ、すぐ疲れたと言う
1995年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、皮膚がカサカサ
2000年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、皮膚がカサカサ
2005年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、皮膚がカサカサ
2010年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、背中ぐにゃ、ぜんそく、自閉的傾向
2015年 アレルギー、背中ぐにゃ、すぐ疲れたと言う、オムツがとれない、自閉的傾向、保育中じっとしていない、発音が気になる

小学校
1995年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、視力が低い
2000年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、授業中じっとしていない
2005年 アレルギー、背中ぐにゃ、授業中じっとしていない
2010年 アレルギー、授業中じっとしていない、背中ぐにゃ、視力が低い、すぐ疲れたと言う
2015年 養護教諭:アレルギー、視力が低い、授業中じっとしていない、背中ぐにゃ、すぐ疲れたと言う
教諭:アレルギー、背中ぐにゃ、体が硬い、すぐ疲れたと言う、絶えず何かをいじっている

中学校
1995年 アレルギー、視力が低い、すぐ疲れたと言う
2000年 すぐ疲れたと言う、アレルギー、首・肩のこり
2005年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、平熱36度未満
2010年 アレルギー、平熱36度未満、すぐ疲れたと言う、夜に眠れない、不登校
2015年 養護教諭:アレルギー、平熱36度未満、首・肩のこり、夜に眠れない、すぐ疲れたと言う
教諭:アレルギー、すぐ疲れたと言う、体が硬い、腹痛・頭痛を訴える、不登校

高校
1995年 アレルギー、腰痛、腹痛・頭痛を訴える
2000年 アレルギー、すぐ疲れたと言う、腹痛・頭痛を訴える
2005年 アレルギー、腰痛、平熱36度未満
2010年 首・肩のこり、うつ的傾向、アレルギー、夜に眠れない、すぐ疲れたと言う
2015年 アレルギー、夜に眠れない、すぐ疲れたと言う、首・肩のこり、平熱36度未満

保育士さんから見た食物アレルギーへの対応状況、対応における困難な点


上記調査からも、保育士、幼稚園教諭から見て、からだに不調があると感じる児の中でアレルギー・アレルギー様症状があると感じる児は上位を占めており、アレルギー児への対応経験のある保育士さんは9割超との調査結果も見られていますが、保育士、幼稚園教諭、2015年6月に実施された、保育士88名によるアンケート調査から伺える保育士さんから見た食物アレルギーへの対応状況、対応における困難な点として以下等を挙げています。

●除去食への対応において困難を感じる保育士は24人(30%)、感じる困難の内訳として
・センター給食のため除去ができない、お弁当持参で保護者の負担が大きい
・お皿のデザインが一緒でわかりづらいときがある
・献立をたてるのが困難
・代替食を子供が好まない
・アレルギー児が除去食ではなくほかの児の給食、おやつを食べたがる
・給食費が高くなる
など
お皿の色を分けるなど改善でき得る対応はありますが、アレルギーのある児自身の理解を促す対応が、家庭でも求められるとも言えます。

●職員間でアレルギー対応において困難を感じる保育士は29人(36.3%)、感じる困難の内訳として
・保護者と職員間での連携不足がある
・他クラスの園児のアレルギーについて把握不足
・保育者(保育士含む)の手が足りない
・保育者(保育士含む)によりアレルギーへの意識に差がある
・給食室と保育者(保育士含む)の連携不足
など
アレルギーへの意識に個人差はある程度見られるところかと思いますが、職員間でもどこまでの理解レベルにあるか把握しながら、経験、知見などを共有できることも望ましいでしょう。

●日常生活での対応において困難を感じる保育士は20人(25%)、感じる困難の内訳として

・掃除、手洗いの徹底
・児の間で誤食しないよう目を配る必要がある
・拾い食べをしないよう目を配る必要がある
・育てた食物を収穫できない
など

●保護者への対応において困難を感じる保育士は47人(58.8%)、感じる困難の内訳として

・家庭での食事が徹底されていないと感じる 31.9%
・保護者のアレルギーに対する意識が低いと感じる 17%
・園に頼っている 12.8%
・実際には食べられるが念のための除去が多い
・食べさせてもいい量がアバウト
・除去食がある場合の代替食を忘れる
・除去する食品のチェック漏れ
など

しっかり対応されているご家庭も多い中、保育園での除去ができているので、家庭ではそこまで徹底しなくてもよく、子供が食べたがる場合や少量においては家庭では食べている、というケースも中には見られ、保育園に求める対応と家庭での実際の対応レベルに違いが見られる場合もある、との意見もあります。家庭での対応が不十分な場合に、通園中などで症状が出現する場合もあります。
また調査対象となった保育所のうち、8割の保育所で入学時、進級前後に園との話し合いを実施しているにも関わらず、3割の保護者が園のアレルギー対応給食について「対応がない、わからない」と回答しているとの報告(食物アレルギー対応給食のあり方-家庭の実態と保育園の進め方-)もあり、園・所と家庭間で交わしている情報、意識や行動において対応レベルを合わせる必要もあります。

栄養士さんが在籍していることで、代替食の献立づくりや給食、おやつなどにおける保護者との確認や対応、職員間の情報伝達や確認などにおいて、よりミスを軽減できる可能性はありますが、園・所・学校と家庭と協力し、対応できるのが望ましいところでしょう。


出典・参考:子どもの“からだのおかしさ”に関する保育・教育現場の実感: 「子どものからだの調査 2015」
岐阜県西濃地区の保育士を対象としたアンケート調査による食物アレルギー児の対応の実態とその課題

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