Author クミタスさん
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読み物
2018.05.23
スウェーデン出生コホートBAMSEの一環として、子供940人におけるオメガ3(n-3)系、オメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸の血中濃度とその後の喘息、他のアレルギー性疾患の発症との関連性を調査したところ、
・8歳でオメガ3(n-3)系多価不飽和脂肪酸の血中濃度が高い子供は、16歳までに喘息または鼻炎を発症する可能性が低く、
・8歳時に喘息または鼻炎症状のある子供の中で、オメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸のアラキドン酸の血中濃度が高いほど、16歳で症状がなくなっていた
と報告しています(Polyunsaturated fatty acids linked to reduced allergy risk)。
オメガ3(n-3)系脂肪酸のDHA、EPAは15-リポキシゲナーゼ等の酵素によりプロテクチン、レゾルビンといった炎症を抑える抗炎症性脂質メディエーターに変わることがわかってきています。
オメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸のアラキドン酸からは、炎症をおこすプロスタグランジン、ロイコトリエンなどが生成されますが、炎症性脂質メディエ―タ―以外にも、抗炎症性脂質メディエーターのリポキシンが生成されます。
喘息患者さんの臨床検体の解析からも、リポキシンA4やプロテクチンD1の産生能低下が報告されていますが、気道の炎症が長く続く喘息においては、抗炎症性脂質メディエーターの作用が高まることで、炎症を抑制する可能性が考えられ、喘息治療に活かす研究もなされています。
抗炎症性脂質メディエーターと炎症抑制についてはまた取り上げたいと思います。
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