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鳥関連過敏性肺炎~羽毛布団が原因となることも

2018.11.14

投稿者
クミタス

過敏性肺炎には真菌が主な原因となる夏型過敏性肺炎がありますが、
真菌が主な原因となる夏型過敏性肺炎
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2855
過敏性肺炎では、鳥関連過敏性肺炎が多く占め(60.4%)、夏型過敏性肺炎(14.9%)、住居関連過敏性肺炎(11.3%)(真菌が抗原)の順となっています。
鳥関連過敏性肺炎では、鳥類の羽毛や腸管由来のムチンを含む排泄物由来タンパク質が主な原因抗原となり、発熱、咳、労作時呼吸困難、炎症反応の上昇などが見られます。ハトやインコ、オウムの飼育歴のある方での発症が多いですが、羽毛布団の使用、鳥糞肥料使用、自宅庭・ベランダに頻回の鳥飛来、剥製、隣家・室での鳥飼育により抗原暴露し発症した報告もあります。

羽毛布団の使用者での鳥関連過敏性肺炎発症経緯


羽毛布団を使用していて、鳥関連過敏性肺炎を発症した場合、どのような経緯で発症したのでしょうか?

・羽毛布団を使用し始めてから咳が出現、3年経て発熱と両側肺野に多発する浸潤影およびスリガラス状陰影 の出現を繰り返し、近医に計4回入院した。肺炎と診断され、抗菌薬を投与され軽快していたが、原因菌は一度も同定されず、陰影の一部は残存していた。労作時呼吸困難が徐々に進行したため、別院で紹介入院となり、鳥関連過敏性肺炎発症と診断された
・発症の8年前から羽毛布団を使用していたが、6か月前から野鳥の多い地域に一時居住し発症した

例など、羽毛布団の使用後1~3年ほどで発症する場合、また5年以上通年で使用していて、ほかにも鳥との接触機会が増え発症する場合などがあることが伺えます。

症状軽快に至る経緯


鳥関連過敏性肺炎と診断された場合、状態に応じ薬物治療などが進められますが、症状鎮静化のために抗原回避がまず対策となります。
羽毛布団の使用中止で症状が鎮静する場合もあれば、使用中止のみでは鎮静しない場合もあります。鎮静しない場合、曝露する抗原量が大きく減っていないことも理由に挙げられ、使用を中止し押し入れに入れている状態でも抗原に曝露している場合があり、破棄をしてから症状が軽快した例も見られています。

ダウンジャケットを含め、羽毛製品の使用機会の増える冬季は、抗原暴露機会、鳥関連過敏性肺炎の症状出現も増える季節でもあります。
鳥関連過敏性肺炎では、羽毛製品が原因抗原となっていることに気が付かず、長期に渡り抗原曝露、慢性化し、肺線維化を示すことがあります。もし、咳が続いていたり労作時呼吸困難があり、ハトやインコ、オウムを飼育している、もしくは羽毛布団を使用している、他羽毛製品を頻回使用、鳥類と接触機会がある場合は、そういった生活環境も含め、受診時に説明できると良いでしょう。


出典・参照:羽毛布団使用中止のみでは増悪し破棄することで 軽快した慢性羽毛ふとん肺の 1 例 東京医科歯科大学呼吸器科 鵜浦康司 富島 裕 安井牧人 古家 正 磯貝 進 宮崎泰成 大谷義夫 稲瀬直彦 吉澤靖之

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