Author クミタスさん
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2018.12.26
医療用医薬品の添付文書上で「使用上の注意」のうち「重要な副作用」等について、改訂された薬剤のなかで、改訂の根拠となったアナフィラキシー症例の概要を掲載したいと思います。
●痔疾用剤 ジオン注生食液付、ジオン注無痛化剤付(硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸)
患者さん:男性40代
使用理由:痔核
合併症:なし
・4mL注入中に呼吸苦出現。眼瞼、口唇、耳介に著明な浮腫あり、喘鳴なし。嘔気嘔吐
皮膚・粘膜症状 口唇,眼瞼腫脹:グレード1(軽症:部分的)
消化器症状
腹痛:グレード2(中等症:強い腹痛(自制内))
嘔吐・下痢:グレード2(中等症:複数回の嘔吐・下痢)
呼吸器症状
喘鳴、呼吸困難:グレード2(中等症:聴診上の喘鳴、軽い息苦しさ)
循環器症状
脈拍、血圧:グレード3(重症:血圧低下)
神経症状
意識状態:グレード2(中等症:眠気、軽度頭痛、恐怖感)
・投与1時間9分後
悪寒、震えあり。心窩部痛改善、顔面浮腫は徐々に改善傾向だが残存。
・投与2時間2分後
病棟に帰室。顔面浮腫も軽快
・投与1日後
退院
改訂後の「重要な副作用」情報
アナフィラキシー:血圧低下、呼吸困難、顔面浮腫、紅潮等が症状としてあらわれることがあり、アナフィラキシーショックに至った例も報告されているので、観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
上記例以外にも今までにアナフィラキシー関連症例の報告があります。
●ビタミンA剤、ビタミンD剤 ロカルトロール注0.5、1(カルシトリオール)
患者さん:男性70代
使用理由:低カルシウム血症、続発性副甲状腺機能亢進症
合併症:慢性腎臓病
・投与6ヶ月前
カルシトリオール(カプセル)投与開始。
・投与3ヶ月前
大動脈弁置換手術を施行するため、カルシトリオール(カプセル)投与中止。内服中に発疹等のアレルギー所見なし。
・投与開始日
血液透析終了後に本剤0.5μgを静注にて投与開始。
・投与終了10分後
全身そう痒、紅潮、膨疹出現。
・投与終了18分後
腹痛発現。輸液、酸素吸入(2L)、ステロイド薬静注、抗ヒスタミン薬投与開始。
・投与終了43分後
腹痛は消失、全身そう痒は軽快。
近隣の病院に救急搬送され入院観察。ステロイド剤、H2ブロッカー、H1+H2ブロッカーが3日分処方された。
・投与1日後
退院
改訂後の「重要な副作用」情報
ショック、アナフィラキシー:ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困難、紅潮等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高用量ビタミンの注射投与によりアナフィラキシーを起こした例などはいままでにも散見されています。
出典・参照:医薬品・医療機器等安全性情報 重要な副作用等に関する情報
上記は注射剤によるアナフィラキシー例ですが、食物抗原を含む経口剤、点眼剤使用による症状出現の場合もあります。以下などにも掲載しておりますが、使用される際は製剤名、製剤の成分、添加物を確認のうえ、ご使用ください。
食物抗原を含む薬剤(一例)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2025
薬剤使用中に違和感がある場合は~食物成分を含む薬剤
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2924
混同しやすい薬剤例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2314
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