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歯科金属と異汗性湿疹

2025.07.22

投稿者
クミタス

異汗性湿疹においては、何らかの原因やきっかけによって、多くのケースでは手足の指や手のひら、足の裏に、中が透き通った1~2mmくらいの小さな水ぶくれ(汗疱)が左右対称に繰り返し出現し、赤みのある発疹が現れたり、かゆみや痛みを伴い、2~3週間で水ぶくれは吸収され、鱗屑になってはがれ落ちていくとみられています。
今回は歯科矯正器具に含有する金属に対する全身型金属アレルギーとして異汗性湿疹を生じたと考えられたケースについて掲載します。
 
29歳男性。5年以上前に歯科金属を充填し、1年8カ月前から歯科矯正器具を装着している。7カ月前から掌蹠に瘙痒を伴う皮疹が生じ、クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏の外用で改善しないため当科を受診した。土踏まずを除く足底全体に黄褐色の膜様鱗屑を付着する紅斑があり、一部で漿液性丘疹を伴っていた。手掌はびまん性に紅斑を認め、所々で漿液性丘疹、浅い亀裂を伴っていた。臨床的に異汗性湿疹と診断した。金属パッチテストでは、72 時間後の判定で、塩化亜鉛、塩化マンガン、塩化第二水銀、硫酸ニッケルが International Contact Dermatitis Research Group 基準で+であった。歯科矯正器具にはパッチテスト陽性金属(ニッケル、マンガン、亜鉛)を含有していたため除去したところ、1カ月ほどで皮疹は軽快傾向を示し、以後再燃なく経過している。以上より、歯科矯正器具に含有する金属に対する全身型金属アレルギーとして異汗性湿疹を生じたと考えた。充填された歯科金属にもパッチテストで陽性であった亜鉛が含有されていたが、皮膚症状が改善したため現時点では除去を予定していない(出典・参照:松立吉弘, 松本麻由, 黒尾優太, 岡﨑秀規, 定本靖司, 玉田司 歯科矯正器具に含有する金属が原因と考えた異汗性湿疹の 1 例)。
水疱ができる疾患については、以下もご覧ください。
水疱ができる疾患例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4606

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