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ごまの状態の違いとアレルギー

2019.11.05

投稿者
クミタス

粒ごまとすりごまによる症状誘発性


ごまにおいては粒ごま、すりごま、練りごまと異なる形状の商品やごま油などが流通しています。咀嚼程度による影響も考えられますが、摂食する粒ごまのうち一部は消化されずに排出される場合もあるため、同量比較ではすりごま、練りごまよりも症状程度が低くなることがあります。

2015年11月~2019年4月に40分間隔の3回投与法で食物経口負荷試験を実施した65症例(粒ごま11例、すりごま54例(ねりごま3例含む)のうち、食物経口負荷試験実施以前に即時型アレルギー症状があったのは40例、即時歴なしは25例(未摂取は18例)であった。
ごま3g以上の食物経口負荷試験を実施した49例(粒ごま7例、すりごま42例)のうちアレルギー症状が認められたのは、粒ごまは陽性1例(14.3%)、すりごまは陽性10例(23.8%)、粒ごま陽性1例はgrade3以上、すりごま陽性10例のうちgrade3以上は60%、grade2は0%、grade1は40%であった。特異的IgE値は、ごま3g以上の食物経口負荷試験陽性例では、粒ごま6.38IU/ml、すりごま 中央値14.75IU/ml(IQL4.6-49.2)、ごま3g以上の食物経口負荷試験陰性例では、粒ごま5.18IU/ml(IQL1.65-12.11)、すりごま 中央値6.13IU/ml(IQL2.68-32.72)であった(出典・参照:当院のゴマ食物負荷試験におけるゴマの形状に基づく検討)。
​上記では症例数が多くはないものの、ごま3g以上の食物経口負荷試験での陽性率は、粒ごまよりもすりごまの方が高い可能性がうかがえる内容となっています。

生後1か月から顔面に脂漏性皮膚炎、生後5か月から全身に湿疹が広がり、ごま油含有の市販外用薬を毎日広範囲に塗布されていた乳幼児において、湿疹が増悪し、活気低下、体重が減少したことにより入院加療。入院時の血液検査ではごま特異的IgE値33.4UA/ml、症状安定後の1歳3か月時に実施されたごま1gの食物経口負荷試験では、ごま0.3g摂取した45分後に後頭部の局所的な紅斑、112分後に全身性の膨疹、瘙痒が出現し陽性と判定。ごま油含有の外用薬を頻回、広範囲に塗布したことにより経皮感作が誘導された例の報告もみられています(出典・参照:ゴマが含有された漢方外用薬による経皮感作の関与が疑われたゴマアレルギーの1例)。
白ごまに対する反応は認められず、黒ごまにアレルギー反応があり、もともとナッツにアナフィラキシーの既往歴がある10歳男児の報告例もありますが、また新たな情報なども掲載していきたいと思います。

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