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貝の肝による反応

2020.04.26

投稿者
クミタス

貝のアレルギーにおいては、貝を摂食してのアレルギー、皮膚に接触しての反応、非IgE型の消化管アレルギー、貝殻粉塵やゆでた貝の蒸気を吸入したことでの症状出現などがあります。

えび、かに、魚の主要アレルゲンの1つであるトロポミオシンは筋原線維タンパク質で、トロポミオシンは貝の筋肉部である貝柱(閉殻筋)のアレルゲンの1つでもあります。
甲殻類のトロポミオシンと貝類のトロポミオシンとのアミノ酸配列相同性は、甲殻類のエビ、カニ間と比較すると低く、エビにアレルギー症状のある方でホタテ、イカ、タコにアレルギー症状を示すとは限らないところでもあります。

アワビやホタテなどの貝柱を摂食してのアレルギー例は今までにも見られていますが、貝の肝によるアレルギーと考えられる例も見られています。
33歳女性。回転寿司屋でアワビ肝煮、エビ、ホタルイカ、サケなどを摂食した40分後に入浴、摂取から1時間後に口腔違和感、2時間後に蕁麻疹が出現し、その後血圧低下(70/40㎜Hg)が認められた。
特異的IgEはホタテが陽性、エビ、イカ、サケ、アニサキスは陰性、アワビの皮膚プリックテストは肝が陽性、貝柱は陰性で、免疫ブロットの結果は、肝は40-50kDa、60-80kDa、160-260kDa、260kDaのタンパク質が抗原として検出された(出典・参照:大野史晃, 矢上晶子, 下條尚志, 中村政志, 青木祐治, 小島淳, 松永佳世子 ホーユー株式会社総合研究所, 藤田保健衛生大学医学部アレルギー疾患対策医療学, 藤田保健衛生大学医学部皮膚科  プロテオミクス手法を用いた貝の肝アレルギーの抗原解析)。

稀な例ですが、2月~5月ごろに獲れたアワビの肝(中腸腺)を摂食し、日光にあたり摂食から1日後などに光過敏症を発症し、顔面や手指などに発赤、はれ、水疱、疼痛が現れることもあります(アワビ類(クロアワビ、エゾアワビ、メガイ、トコブシなどのミミガイ科の巻貝)、サザエなどでの発症可能性があるとみられています)。アワビが餌とする海藻に由来するクロロフィル分解物(ピロフェオホルバイドaなど)が原因物質と考えられ、2月~5月などに肝(中腸腺)に蓄積すると考えられています。2月~5月に獲れたアワビの肝にはご留意いただくのが望ましいでしょう。
自然毒のリスクプロファイル:巻貝:ピロフォルバイドa(光過敏症)
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_16.html

肝においては肝を和える料理などもあり、またアワビの貝殻の内側に盛られた魚の刺身を摂食し、アナフィラキシーショックを認め、貝殻に残っていたアワビの成分を摂食したことが原因と考えられた例の報告もありますが、貝柱を食べていない場合でも、症状出現する場合もあることを認識頂くのが良いかもしれません。

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