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小児におけるハンノキ花粉抗原感作とアレルギー

2023.02.09

投稿者
クミタス

ハンノキはカバノキ科の植物で、シラカンバ(白樺)、オオバヤシャブシも同じくカバノキ科植物になります。
シラカンバ花粉の主要アレルゲンはBet v 1やプロフィリンと考えられており、シラカンバ花粉やオオバヤシャブシ花粉の花粉症患者さんの20〜40%において、バラ科食物に対するPFAS(花粉ー食物アレルギー症候群)の合併が見られるとの示唆もあります。

シラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ花粉(いずれもカバノキ科)と交差反応性のある果物、野菜
バラ科(りんご、西洋なし、さくらんぼ、桃、すもも、あんず、アーモンド)
セリ科(セロリ、にんじん)
ナス科(じゃがいも)
マメ科(大豆、ピーナッツ)
マタタビ科(キウイフルーツ)
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)
ウルシ科(マンゴー)
ししとうがらし ほか

2018年4月1日~2020年3月31日に東京都内の病院にてハンノキおよびスギ特異的IgE抗体価を測定した15歳以下の小児を対象とし,OAS症状に関して後方視的な検討、また上記期間のハンノキ花粉飛散時期におけるハンノキ花粉飛散量を測定したところ
対象490人のうち,ハンノキ特異的IgE抗体価陽性者は165人(34%)で、OAS群は41人(8.3%),非OAS群257人(52%),OAS不明が192人(39%)であり,OAS群のハンノキ特異的IgE抗体価は非OAS群に比べ有意に高かった結果が見られています。
1シーズンあたりのハンノキ花粉平均飛散量(57個/cm3)は,スギ花粉(3,667個/cm3)に比べ少なく、都内のハンノキ花粉飛散量が非常に少なかったにもかかわらず,小児の34%で抗体価が陽性であり,ハンノキ特異的IgE抗体価の上昇とともにOAS有症者の割合が増加した状況が見られています。

PFAS発症と関連性の高いカバノキ科植物花粉アレルゲン、ブタクサ花粉アレルゲン、カモガヤ花粉アレルゲンなどの花粉アレルゲン特異的 IgE 抗体価が高い児においては、PFASを発症する可能性があることが示唆されていますが、他アレルゲンについてもまた追記したいと思います。


出典・参照:中川愛 遠藤朝則 鈴木亮平 相良長俊 青田明子 赤司賢一 勝沼俊雄 小児におけるハンノキおよびスギ特異的IgE抗体価と口腔アレルギー症候群との関係~東京都多摩地区での後方視的検討~ 他

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