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美容外科手術で充填される物質と異物肉芽腫

2021.09.03

投稿者
クミタス

体内に長時間分解されない異物があり体外に排出できないことで、慢性的に炎症が生じ、炎症細胞や線維芽細胞が集積し、毛細血管などを含む肉芽腫(腫瘤)を生じることがあります。
原因となる異物としては、傷口から入り込んだ砂、石、木片、ガラス、金属、鉛筆やシャープペンの芯、植物のトゲ、動物や虫の一部、毛髪や毛、刺青など、外科手術由来での生体内埋入材料によるもの、美容外科手術で充填目的で使用される物質(非吸収性物質含有フィラー、流動パラフィン、シリコンインプラント、ヒアルロン酸、コラーゲンなど)などで可能性があると考えられています。

症例1
53歳女性。1か月前より両上眼瞼と両鼻唇溝下端に紅斑と硬結を生じた。同部位に5年前から3か月前までの計3回、ヒアルロン酸の注入歴があった。
症例2
53歳女性。1週間前から右鼻唇溝部に波動を触れる紅色結節を生じた。2年前にヒアルロン酸を注入していた。
両例とも病理組織像で異物肉芽腫を認め、各々プレドニゾロン15mg/日、プレドニゾロン20mg/日の投与で軽快した。
症例3
44歳女性。美容のため海外で両手、両頰にコラーゲン注射を施行し、6か月後同部位に著明な腫脹と硬結が生じた。病理組織学的に真皮全層に組織球・多核巨細胞が集簇し肉芽腫を形成しており、肉芽腫内には空胞が目立ち、注入された異物と考えられた。コラーゲン注射により生じた異物肉芽腫と診断し、トラニラスト内服とステロイド外用を行い改善した。

治療、対処として異物、肉芽腫の摘出、または量を減らす手術が施行されたり、炎症を抑制するためにステロイド薬が使用されています。「異物肉芽腫が長期間存在し、潰瘍化を繰り返す場合は、癌発生を促す可能性も否定できない」、「異物肉芽腫の部位によっては、呼吸困難や視野の異常などの重篤な障害を呈することもあり、小さい内にできる限り異物および異物肉芽腫を摘出することが好ましい」との見解もあり、赤みがあり硬くなっていたり、膨らみがあるなどの違和感がある場合は受診し相談できるのが望ましいでしょう。

出典・参照:竹中祐子 石黒直子 川島眞 東京女子医科大学皮膚科学教室(主任:川島眞教授) ヒアルロン酸注入により生じた異物肉芽腫の2例
斉藤彬 柴尾加奈 石井良征 藤本学 筑波大学医学医療系皮膚科(主任:藤本学教授) コラーゲン注入により著明なびまん性硬結を呈した異物肉芽腫
一般社団法人 日本形成外科学会 異物肉芽腫

マダニ咬傷~小児においても
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4271

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