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ビールによるアレルギーの例 10.5更新

2021.10.04

投稿者
クミタス

ビールを摂取して症状出現することがあり、アルコールによる反応、また大麦・大麦麦芽、酵母、ホップ、香り成分(酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチルなどのエステル成分)やその他含有成分(使用されている場合、米やとうもろこしなどの他原料など)に反応する場合が考えられますが、大麦・大麦麦芽によるアレルギー反応と考えられる症状が出現したケースをご紹介したいと思います。

・アトピー性皮膚炎の症状のある方で、職業上ビールに接触する機会があり、経皮感作し症状出現するようになった可能性のあるケース
皮膚プリックテストで確定診断したビールアレルギー4人(男性2人、女性2人)においては、全員アトピー性皮膚炎を合併しており、発症前にビールを取り扱う飲食業のアルバイトに就いていた。麦芽特異IgE抗体は3例で陽性、麦芽タンパク質の2Dウエスタンブロットでは4人全員で複数のタンパク質にIgE抗体を検出した。質量分析の結果、3例ではLTP(脂質輸送タンパク質)が同定された(出典・参照:二村恭子 鈴木加奈子 佐藤奈由 中村政志 松永佳世子 矢上晶子 藤田医科大学ばんたね病院 藤田医科大学 ホーユー株式会社 職業性発症が考えられたビールアレルギー4例の検討 より抜粋)。

・10年以上毎日摂取していて症状出現するようになったケース
48歳男性、アトピー性皮膚炎、鼻炎の既往があり、ビールは10年以上毎日摂取していたが、1年前にビールA摂取後、口唇にかゆみを生じ、次第に口唇だけでなく口腔のかゆみや膨張、咽頭が締めつけられる感覚を生じたため、ビールBに変更した。当初は症状はなかったが、その後同じ症状が出現するようになり、摂取5分後に口唇腫脹と咽頭違和感、顔面紅潮を生じ、しわがれ声となった。他院へ救急搬送され、アドレナリン筋注と抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイドの経静脈的投与により症状は軽快した。特異的IgEはビール酵母クラス2、麦芽クラス4、大麦クラス3で、小麦、ライ麦、オート麦も陽性であった。皮膚プリックテストでは大麦麦芽含有のビールA、ビールB、発泡酒は陽性だったが、麦芽非含有の醸造酒やノンアルコールビールは陰性で、大麦麦芽は陽性であった(出典・参照:鈴木華織 渡邊裕子 伊部美葉 猪又直子 横浜市立大学附属病院皮膚科 伊部美葉 大麦麦芽が原因抗原と考えられたビールによるアナフィラキシーの1例 より編集)。

大麦のアレルゲンとしては
・プロフィリン(Hor v 12)
・α-アミラーゼ/トリプシンインヒビター(Hor v 15)
・α-アミラーゼ(Hor v 16)
・β-アミラーゼ(Hor v 17)
・ホルディン(Hor v 20)
・脂質輸送タンパク質 LTP(Hor v 14)
などが挙げられていますが、ビールにアレルギー症状を生じることがあり、長年摂取していて無症状であった後にアレルギー症状を生じるようになる場合もあることもご留意頂ければと思います。

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