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皮下免疫療法と食物依存性運動誘発アナフィラキシー

2022.06.21

投稿者
クミタス

イネ科植物の花粉は、イネ科植物の1つである小麦と交差抗原性があるとみられていますが、イネ科植物に花粉症のある患者さんで、小麦と米の食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)を発症した方において、イネ科皮下免疫療法(SCIT)の施行により、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の症状が改善した報告も見られています。.

15歳男性。8~9月、小麦製品や白米を摂取後に草むらで野球をした際に、アナフィラキシー症状を繰り返した。ImmunoCAPは、小麦や米と同じイネ科のカモガヤで100以上、小麦1.55、小麦の主要アレルゲンの1つであるω5グリアジンで0.35未満、米0.38UA/mL、運動誘発試験で陽性で小麦、米それぞれの食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)と診断された。
1年後からイネ科皮下免疫療法(SCIT)を開始し、入院急速法で1000BAU/mLまで増量した後、外来維持療法と短期入院による増量を行い、2年後に5000BAU/mL まで増量した。3年後には小麦や米を摂取して野球などの運動を行っても症状が出ないことを確認し、以降食事や運動の制限なく生活できている。
5年後のImmunoCAPは、カモガヤ62.5、小麦2.44、ω5 グリアジン0.1 未満、米1.79UA/mL で、事前にイネ科皮下免疫療法(SCIT)液と混和した患者血清でカモガヤ、米、小麦ImmunoCAPを測定したところ、いずれも高い阻害効果が認められ、イネ科花粉と小麦や米との交差抗原性が示唆された(出典・参照:徳毛典子 牧野篤司 北村勝誠 松井照明 高里良宏 杉浦至郎 伊藤浩明 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科 イネ科皮下免疫療法によって小麦と米の食物依存性運動誘発アナフィラキシーが改善した1例)。

カバノキ花粉にアレルギーのある方でのリンゴアレルギーに対するカバノキ花粉抽出物の皮下免疫療法(SCIT)の効果持続期間の評価を試みた報告として、リンゴアレルギーのあるシラカンバ花粉症患者さんにシラカンバ花粉抗原を用いた皮下免疫療法をおこない、リンゴアレルギーの症状がみられなくなり、皮膚プリックテストで陰性であった方を皮下免疫療法終了6か月後から12か月間隔で追跡したところ、50%超で30カ月時点でリンゴを摂食可能であったとする結果も見られていますが(出典・参照:How long does the effect of birch pollen injection SIT on apple allergy last?)、また関連情報をアップデートしていきたいと思います。

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