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おむつ皮膚炎のケースにおいて

2022.09.26

投稿者
クミタス

おむつ内の蒸れた環境下で摩擦が加わり、傷ついた皮膚からの吸収性が高まっている状態で、便や尿、汗成分などの刺激物質が侵入したり、皮膚のpHが上昇することで刺激性のある細菌の活性が起こり、おむつ皮膚炎が生じることがあります。
おむつ皮膚炎について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4210
おむつ皮膚炎の発症は乳幼児にとって珍しいことではないですが、おむつを替える頻度が少ない児において、おむつ皮膚炎を機に細菌感染し、皮膚の下の蜂窩織(ほうかしき)に炎症を生じる蜂窩織炎を発症したと考えられる例も報告されています。
細菌感染による皮膚疾患~蜂窩織炎(ほうかしきえん)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3849

11ヶ月男児。初診時の症状・検査結果:37.8 °C の発熱。活気不良あり。臀部から背部にかけての広範な紅斑。母よりお座りが普段よりぐらつく、ハイハイをあまりしたがらないとの訴えがあった。咳、鼻汁等のかぜの症状、下痢、嘔吐等の消化器症状は認めず、頭部単純 MRI 及び髄液検査で異常は認めなかった。
蜂窩織炎はおむつで覆われていない部位に見られたものの、MRIでは蜂窩織炎の部位からおむつで覆われている部分に連続する皮下脂肪織の炎症所見が認められており、蜂窩織炎の診断においては十分な問診と診察が当然重要であるが、原因不明の発熱や自発運動の低下のような皮膚症状のみでは説明が付かない他覚所見を伴う際は、MRIを含めた画像検査が診断及び原因究明に有用との示唆もなされています。

上記例では、1日1 回しかおむつ替えをしていなかったようであり、ケアが不十分なケースにおいての発症ではありますが、成人で加圧や体勢、栄養状態などの要因が関連したと考えられるおむつ皮膚炎に伴う蜂窩織炎の発症例も示唆されています。上記例でMRI 検査は当初、股関節炎や筋炎の 精査目的でなされた結果、蜂窩織炎の診断に至っていますが、食物アレルギーと関係なく皮膚症状を機に全身症状を生じるケースとして記しておきたいと思います。


出典・参照:浅田一志、園田峻也、松本由里香、古澤有花子、河崎知子、鶴井聡 浜松医科大学小児科 おむつ皮膚炎から蜂窩織炎を続発しMRIが診断及び原因検索に有用であった11ヶ月男児例)

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