ロジンは松の木から分泌される松脂（マツヤニ）などを原料として得られ、滑り止め剤（野球のロジンバッグ、弓道の薬煉、バレエのトウシューズやホッケースティックに使用など）、潤滑剤、また美容製品、外用薬、接着剤、塗料など日常的に使用されるものに含有されていることがあり、接触皮膚炎の原因物質となる場合があります。

43歳女性。ハンドボール部に所属する息子の部活動用具の手入れのため、頻繁に松脂を使用下で、手関節部の熱傷のため前医を受診。抗菌薬内服と strongest クラスのステロイド外用薬を使用により熱傷は軽快し、残存するびらんの上皮化をすすめるため、デュオアクティブ ET（局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材） 貼付となった。貼付 4 日後、貼付部位に一致した浸潤を触れる紅斑が出現したため、精査目的のため紹介受診。
デュオアクティブ ET の基材の一部に松脂の主成分であるロジンが含有されており、それまでに部活動用具の手入れで松脂を使用していたことから、ロジンによる接触皮膚炎が考えられ、パッチテスト施行したところ、デュオアクティブ ET と松脂が陽性で、デュオアクティブ ET に含有するロジンによる接触皮膚炎と診断された（出典・参照：原田侑弥 水野久美子 福田英嗣 東邦大学医療センター大橋病院皮膚科学 水野皮フ科 デュオアクティブ ET に含有するロジンよる接触皮膚炎の 1 例）。

日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会は、接触皮膚炎における陽性の頻度の高いアレルゲンを検討していますが、ロジンはそのスタンダードアレルゲン（2015年度）の1つでもあります。上記は部活動用具の手入れで松脂を接触している中で経皮感作した可能性が考えられますが、今後も様々な感作経路例を含め掲載していきたいと思います。

楽器とアレルギー～ヴァイオリンの例
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