Author クミタスさん
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2024.08.19
腕・胸部一体型浮き輪は両腕と胸部の浮き輪で浮力を確保する水泳補助具ですが,本来胸部に装着するはずの浮き輪部分を誤って背部に装着して使用したことで,浮力によりバランスを崩し仰臥位(仰向けで寝た状態)から腹臥位(うつ伏せで顔を横に向けた状態)へひっくり返ってしまい,そのまま自力で姿勢を戻すことができずに溺水・心停止に至ったと考えられたケースについて掲載します。
3歳3か月男児(既往歴:単純型熱性けいれん(1歳))。プールの浅瀬でアームリングと胸部浮き輪一体型の浮き輪を装着して遊泳していたが、浮き輪の装着の仕方を誤り、前後逆に背部に当てられ,胸部でバックルにて固定されていた。水位は浮かんだ状態では本児の胸部の高さで,底面には足がつく程度の深さで、母の手の届く範囲で遊んでいたが、母が10秒ほど目を離した際、児が腹臥位(うつ伏せで顔を横に向けた状態)で頭の半分が水に浸かった状態で浮いていた。母が発見したとき、本児にけいれんなし。すぐにプール外へ救出されたが、呼吸なく、四肢脱力し顔面蒼白だった。浮き輪自体に損傷はみられなかった。救護所へ搬送され,心停止と判断され心肺蘇生開始。心拍再開が確認され、救急隊到着時は,発語はないが開眼していた。酸素投与を行われながら、医療機関へヘリ搬送され、医療機関に到着時、気道、呼吸、循環に問題なし、開眼あり。姉からの声かけには発語し応答。38.5℃の発熱あり。ハイケア病棟へ入院となり、血液検査、心電図、ホルター心電図、脳波検査、胸部X線、胸腹部CT:異常所見なし、頭部CT:異常所見なし、頭部MRI/MRA:異常なし、翌日には意識清明、会話の様子など普段と同様、解熱、全身状態良好となり、後日退院。その後の受診時も全身状態良好で神経学的異常所見はなかった。
腕・胸部一体型浮き輪を装着した児は浮力により水中で立位に近い姿勢になりやすかったり、成人の体格に比べて頭部の割合が大きい4歳児以下の児においては、姿勢の保持が難しい面がある、との意見も見られています。
水泳補助具は多種多様な類似商品が販売されており、使用方法が商品により異なっている場合がありますが、使用される際は、商品の正しい装着方法を確認のうえ、泳ぎに慣れていない子供が使用される際には保護者が常に傍にいる必要がある、旨の記載も見られています。詳しくは以下をご覧ください。
出典・参照:Injury Alert(傷害速報) No. 142 腕・胸部一体型浮き輪の誤使用による溺水
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0142.pdf
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