カプリルヒドロキサム酸は，防腐助剤やキレート剤（劣化、品質低下防止など）の目的で化粧品に配合されていることのある物質でもありますが、過去にはカプリルヒドロキサム酸含有の保湿剤を使用していた方にてアレルギー性接触皮膚炎を生じた海外での報告例も見られています。今回は国内でのケースについての報告がありましたので、掲載します。

顔面にオールインワンジェルを使用した数日後に湿疹が出現した女性2名にパッチテストを施行したところ，ともに持参のオールインワンジェルに陽性を示した。成分別パッチテストを施行したところ，2例ともにカプリルヒドロキサム酸が陽性を示し，接触皮膚炎の原因と考えた（出典・参照：山田はるひ, 足立厚子 竹内千尋 永濱陽 熊谷淳 増田泰之 佐々木 下浦真一 兵庫県立加古川医療センター もと皮膚科クリニック しもうら皮ふ科 オールインワンジェル中のカプリルヒドロキサム酸による接触皮膚炎の2例）。

含有成分においては濃度、容量によっても症状出現に影響を及ぼす可能性もありますが、今後も関連する報告を追記していきたいと思います。また、化粧品使用下での症状出現については以下も掲載しております。よろしければご参照ください。
マスカラ、アイライナー使用により痒くなる場合
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3405
口紅・リップクリームによる反応例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4224
リップクリームによるアレルギー～食物由来成分
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3572
洗顔料に含有する食物抗原によるアレルギー～小麦以外の例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3246
化粧品による反応例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2656
入浴剤によるアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1617

出典・参照：An epidemic of allergic contact dermatitis caused by a new allergen, caprylhydroxamic acid, in moisturizers
Safety Assessment of Caprylhydroxamic Acid as Used in Cosmetics